今回は宮城県の松島・仙台周辺を旅してきたので、その模様をご紹介します。
本来ならば、この地から車での日本一周旅を計画していましたが、ある事情により急遽中止となってしまいました。
果たしてその事情とは……?
岩手から宮城へ
2/19(水)午前6時10分……空にまだ月が浮かび、ほのかな光が照らす中、諸事情により盛岡市にある祖母の家から宮城へ出立しました。

目指す最初の目的地は日本三景の一つである『松島』
天気はやや雲があるものの、晴れ……大寒波の中だが、比較的穏やかな朝です。
道路は国道4号線を南下……最初は車の数は少なかったものの、北上市に入ったところから通勤ラッシュに当たったのか、渋滞につかまり始めました。
それでも、車の流れに乗って順調に進んでいきます。
午前9時30分……道の駅『平泉』にて立ち寄り小休憩。

施設は新しく、中に入るとひな祭りが近いためかひな壇が設置されていました。

この時間、売店は開いていましたが食堂はまだ開いておらず……ここでは昔、『粒からしのソフトクリーム』というものがあって、辛いのに冷たいという不思議な感覚を味わったことがあります。
現在、メニューにはそのようなソフトクリームはありませんでしたが、もしかして期間限定のものだったのでしょうか?
そんなことを考えながら、休んだ後に再び出発。
一関市街地を通り、いつの間にか宮城県へと入ってしまいました。
宮城の看板を見るたびに「さらば、岩手! またしばらく!」と言っていたのに、未だ岩手県内だったこともあり、いつの間にか別れを言う前に宮城県へ突入していたのは、我ながら恥ずかしい思い出です。
その後、カーナビの案内に従って今度は三陸高速道路をひた走ります。
我がエブリイワゴンは車高があり、小柄なため横風の煽りにとても弱く、何度もハンドルを取られそうになりました。
本当、高速道路は便利で早いのですが、こういうのが怖いです。
そんな自然の戦いに集中している内に次から次へと追い越されていきます。
正直、二車線で本当に良かったです……これで後続車にも煽られたら事故は不可避だったことでしょう。
そうしている内に高速を下りることとなり、やがて『松島』の看板が見え始めました。
松島の『福浦島』と名物で昼食
午前11時33分……ようやく『松島』へ到着です。

岩手を出発した時には気が付かなかったものの、海からの風がとても強く寒いのなんの……。
一時、観光遊覧船乗り場の待合所に避難するもそこは多くの外国人で埋め尽くされていました。
アメリカなのかオーストラリアから来たのか不明な方や中国人一行と……今話題のオーバーツーリズムを彷彿されるかのように、日本人観光客よりも外国人観光客が多かったです。
まぁ、こんな寒い時期の平日にほっつき歩いている日本人などごく少数……私のような人間くらいなものです。
しかし、寒いですが……そこは日本三景と謳われる『松島』
海とそこに浮かぶ島々がとても美しく綺麗です。

着いたのは昼頃でしたが、まだ昼食には早いので少し周囲を散策します。
土産物屋からほど近いところにあるのは松島が誇る古刹『瑞巌寺』と『五大堂』

『瑞巌寺』は小学校の修学旅行をはじめ、家族で観光に訪れた際は必ず来ているので今回は遠慮し、『五大堂』へ行こうとしたら……なんとまさかの橋の改修工事中(令和5年5月19日~令和7年3月31日)とのことで見ることが出来ませんでした。
仕方ないので、少し離れている『福浦島』へ行くことに……長い赤い橋『福浦橋』を渡ることが行くことができる離れ小島です。

ちなみに島へ入るには通行料として200円が必要。ただ、こちらの橋は別名“出会い橋”と呼ばれ、良縁のパワースポットとしても有名なので、お賽銭と思えば安いものかもしれません。

そんな橋を渡った先にある『福浦島』は県立自然公園となっており、島内にはアカマツやスギ、モミなどの植物が自生していて自然豊かな環境を形成しています。
しかも島から見る松島湾の景色は最高です。


ただ、この日は先ほども述べた通り風がとても強い……それも海風となればなおさら……。
あまりの寒さに体が持っていかれそうで、やむおえずジャンパーのフードを被ってしまいました。
傍から見れば不審者そのものですが、悠長なことは言っていられません。

ゆっくり見渡す暇もなく……足早に島内を巡っていると、見晴らしの良い景色とお堂が見えてきました。

このお堂は『弁天堂』
かつて仙台藩藩主・伊達政宗公が現在の『大江戸温泉物語グループ ホテル壮観』敷地内にお塩場(塩田)を作るため、元々その地にあった若草神社と弁財天を合祀させたのがはじまりとされています。
当時は『磯崎弁天』と呼ばれ、塩田の守り尊として崇められたが昭和の頃になると松島の観光化に伴い、瑞巌寺の盤龍和尚によって福浦島へと移転され、現在は『福浦弁財天』として祀られています。
ここからの眺望は素晴らしいの一言じゃ表せられないほど見事なものです。

そんな島々の景色と島内の自然を眺め、寒風にさらされながらぐるりと一周。

帰りもまた『福浦橋』を通って戻りましたが、吹きすさぶ風は一層強くなり、まともに歩けないほどで耳と頭が痛くなり、少しめまいがしてしまいました。
無理はするものじゃありませんね。

そんなフラフラな状態で松島の街をさまよっていると、とある店の前で気になるものを発見。

それは『たいかん亭』の『牛たん饅頭』……これは初めてみる看板です。
興味本位で店内へ足を運び、その饅頭を注文すると蒸しあがるのに10分ほど掛かる、とのことでその間にめまい治しも兼ねて、商品を眺めて過ごしました。
よくよく見ると昔は『笹かまぼこ』や『萩の月』、『かもめの玉子』といった商品が中心でしたが、今では牡蠣をメインとした商品が増えています。
ずんだを使用した派生商品もかなり増加し、時代の流れが早いことを実感しますね。
そんな想いに耽っていると、整理番号でお呼びが……待望の『牛たん饅頭(300円)』とのご対面です。

見た目は普通の肉まん……中を割ってみても普通の肉まん……ただ、口の中に入れてみると確かに牛タンの味がちゃんとします。
豚肉を使用した肉まんに比べて、牛タンを使用しているためか噛み応えがあり、噛めば噛むほど旨味が出て美味しいです。
私は前に一度、仙台で牛タンを堪能したことがありましたが、持ち前の少食もあって後半は苦しくなり、美味しい思い出が辛い思い出になったことがあり、少し牛タンに抵抗がありました。
しかし、こちらは少食の私でもとても食べやすい。
腹いっぱいも良いけれど、やはり美味しいものは少し物足りないくらいが一番美味しく感じられます。
あっという間に完食してしまいました。ごちそうさまです。
温かいものが空腹の胃に入ったこともあり、もう一つ何か食べても良いと思って続いては松島海岸レストハウスの道路向かいにあるパン屋さん『Pensee(パンセ)』へ……何やら行列が出来ていたので、覗いてみると『牡蠣カレーパン(400円)』なるものがあり、こちらも興味本位で注文してみました。

カレーパンを受け取り、中を割ってみると大ぶりの牡蠣が二つゴロっと入っており、実に食べ応えがありそうです。

牡蠣とカレー……果たして合うのだろうか? と思いながら、口の中に入れてみると……これが意外と合うんです。
このカレーパンのルーは牡蠣に合うように調整したとだけあって、とても美味しい。
辛いものが苦手な私は若干、辛く感じたが普通の人なら問題ない辛さです。
どことなく風味としてはシーフードカレーに近いような気がします。
牡蠣は生っぽくなく、蒸し牡蠣に近い……生臭さはないが、焼き過ぎによる固さもありません。
生牡蠣は苦手でも蒸し牡蠣なら食べられる、という人なら安心して食べられることでしょう。こちらもごちそうさまです。
そんな松島の美食を堪能した後は駐車場代600円を払って、次なる目的地である『仙台市街』へ向けて13時07分に松島を出発。
観光地で2時間600円……1時間あたり300円と考えれば、かなり安いほうではないでしょうか?
駐車場を探す際、松島の他の駐車場には『キャンピングカー・車中泊可』や『トイレ・シャワー付き』駐車場がいくつか目に入りました。
ホテルもさることながら、松島は旅する人にとっては良い滞在地かもしれません。
しかも高速道路を使い、石巻市方面に行けば大きな道の駅もあります……ペット連れなどでホテルに泊まることが難しい人は松島周辺を停泊地にした方が良いでしょう。
そんなことを考えながら運転すること1時間弱……14時04分に次なる目的地である『櫻岡大神宮』へ到着しました。
仙台のお伊勢さん『櫻岡大神宮』にて念願を果たす
地図ではそんなに離れていないように感じましたが、入り組んだ道や交通量の関係もあり、やはり思ったようにはいきません。
けれど、これが旅の醍醐味でもあります。

ここは『仙台のお伊勢さん』と呼ばれる神社で広大な『仙台市西公園』内に鎮座しています。
仙台藩祖伊達政宗公が元和七年(1621年)に伊勢神宮よりご分霊を勧請し、以降は伊達家御用達の神社。
御祭神は天照皇大神〔あまてらすすめおおかみ〕豊受大神〔とようけのおおかみ〕ほか十六柱の御祭神(住吉大神三柱、出雲大神二柱、西宮大神一柱、木工大神二柱、歳徳大神三柱、竈大神二柱、少彦名命、柿本人麿命等)が祀られています。

ざっくり述べるなら『生活全般』に御利益がある、ということでしょう。
ちなみに祀られている豊受大神は私が好きな推し神様でもあります。だからこそ、ここの神社は絶対に訪れたいと思っていました。
西公園通りに面しており、交通量の多い市の中心部にあるため……事故に注意しながら境内に入り、参拝させていただきます。


歳徳大神もそうですが、針供養の石碑もあったりと普段の岩手の神社では見られないものばかりで新鮮な気分です。
その後は、授与所にて御朱印(300円)を直書きで頂きました。

お忙しい中、対応してくださりありがとうございます。
そうして、14時18分……『櫻岡大神宮』を出発して、次なる目的地である『瑞鳳殿』へと向かいます。
政宗公が眠る『瑞鳳殿』
こちらはナビだと近いですが、なにぶん慣れない道なのでおっかなびっくり進み……14時32分に到着しました。

仙台には何回か来たことはありますが、車で運転するのは今回が初……やはり東北随一の都市といわれるだけあって、道路の大きさも交通量も盛岡とは比になりません。
『瑞鳳殿』には誘導員と専用駐車場が設けられていましたが、見学者は駐車料金が掛からないとのことで、そのまま駐車して杉林に囲まれた長い石段を上がります。

この光景はどこか平泉にある中尊寺を思い浮かべますね。
今は雪がちらつく季節ですが、蝉しぐれが響く夏ならまた違った趣があったことでしょう。
そんなことを思いながら、石段を上がると受付が見えてきました。

拝観料は大人が570円。高校生が410円。小中学生が210円。
市内観光バス『るーぷる仙台』を利用すれば一日乗車券を提示することで割引があり、お得に見学できるとのこと……市内観光は自家用車よりも公共交通機関を利用したほうが安心、安全、お得です。
御朱印は受付とは別とのことで、まずは政宗公へ挨拶しに向かいます。

『瑞鳳殿』は寛永13(1636)年、70歳で生涯を閉じた政宗公の遺命により、その翌年経ケ峯に造営された霊屋(おたまや)……すなわちお墓です。

本殿、拝殿、御供所、涅槃門からなり、桃山文化の遺風を伝える豪華絢爛な廟建築として昭和6(1931)年、国宝に指定されましたが、昭和20(1945)年の戦災で焼失してしまいました。
現在の建物は規模、装飾ともに、焼失以前の瑞鳳殿を模したもので、昭和54(1979)年に再建されたものとのこと。

さらに平成13年(2001)に、仙台開府四百年を記念して大改修工事が実施され、柱には彫刻獅子頭を、屋根には竜頭瓦を復元して、ようやく創建当時の姿へと至りました。

豪華絢爛な門をくぐり、その御霊廟前に来ると急に厳かな雰囲気に体が包まれます。

なんというか圧を感じ、自然と背筋が伸びる感覚……緊張している状態に近い感じです。

霊屋の両脇にある家臣の殉死者供養塔も相まって、亡くなってもなお大名としての存在感が放たれているのでしょう。

一礼とお参りをした後……辺りを散策した後にすぐそばにある資料館へと入ります。
館内は撮影禁止のため画像はありませんが、政宗公が使用したと思われる太刀や姿の再現、経ケ峯の歴史を知ることができ、とても有意義な時間を過ごすことができました。
外国人観光客も多く中にいましたが、説明書きの文章が難解だったのかほとんどの方が副葬品だけサッと見て出ていくばかりでした。仕方ないとはいえ、実にもったいないです。

その後は二代目藩主、忠宗公の霊屋である『感仙殿』や三代目藩主、綱宗公の『善応殿』も見学したが、こちらは現在改修工事中とのことで見ることができませんでした。

松島の五大堂といい、今日は改修工事によく当たる日ですね。
そうして、一通り巡った後に御朱印を頂きに受付隣にある売店へ……御朱印は200円で頂くことができ、日付はスタンプ式の別紙に押して貼るタイプのものでした。

日付も入れたかったのですが、御朱印のサイズがギリギリのため敢えて貼らず、そのままに。
そんなこんなで駐車場に戻った頃には時刻は15時15分。
本当は『金蛇水神社』や『青葉城址』、『白石城』にも立ち寄りたかったのですが時間がないのでキリ良く終わらせるために目的地を変更し『鳳鳴四十八滝』へと向かいます。
鳳凰が鳴く滝『鳳鳴四十八滝』
駐車場を後にするとちらついていた雪が段々と強くなり吹雪に……。
『鳳鳴四十八滝』がある場所は『作並温泉』近く……ほとんど山形県の天童市に近い場所です。
わざわざ遠い所、しかも吹雪の中……と思うかもしれませんが、今回の旅は行きたい場所が多いため、一カ所だけ距離が遠いなら中途半端な時間で消化してしまい、距離の近い所は明日まとめて行ってしまおうという策です。
ですが、予想以上に雪が降り始め……目的地周辺に着いた頃には外灯が点くほど薄暗くなっていました。
しかも、カーナビは目的地に着いているし案内板もあるのに駐車場らしき所も見当たらない。
おかしい……グーグルアースで調べた時にはちゃんとあったのに、と思いながらよくよく辺りを探してみると、なんとあまりの積雪により駐車場とその入り口が空き地や縁石と同化しているではありませんか!
慎重に進み、タイヤを雪に埋めながら車を停め、歩くこと数分……ようやく目的の『鳳鳴四十八滝』へ到着しました。時刻は16時05分。

あまりの雪の量で少々見えづらいですが、それでも迫力ある滝と『鳳凰』の鳴き声に似ているといわれる水音が目と耳に入ります。

紅葉の時ならさぞ美しかったでしょうが、立地を見ると春や夏は木々が茂って見えづらいのかもしれない……そう考え、滝全体を見るなら冬が良いと踏んできたわけですが、いやはや雪に当たるとは私もまだツメが甘い。

ですが、それでも大満足です。
本日の旅はこれで切り上げ、本日の寝床を確保するため、ここから距離が近い道の駅『おおさと』へ向けて16時17分に出発しました。
道の駅で車中泊するも……
本当は作並温泉に一泊といきたいところですが、あいにく予約はしていないうえに次の日に仙台市内へ行くには些か遠い……そのため、少し戻ってしまうが良いと判断しました。
しかし、やはり遅くなってしまったためか夕方の帰宅ラッシュの渋滞にはまり……目的の道の駅に着いたのは18時。

暗くなるのも早いので、着いて早々に寝床を作り……この日は車中泊で床についたのでありました。
……と、本来であればここで一区切りして翌日の旅についてお伝えしたかったのですが、冒頭でも触れたとおり、宮城の旅はここで中断となりました。
理由としては深夜に急に胸の痛みと息苦しさに襲われ、急患で駆け込んだ病院にて去年治したはずの肺の病気が再発し、岩手へ強制帰還せざる負えなくなったからです。
この病気についての詳細は近日中に、その時の様子と共にお伝えします。
※こちら▼がその病気の詳細になります。

皆さんも事故、ケガ、病気にはくれぐれもご注意ください。
おわりに
松島の景色……仙台の街並みは昼も夜も美しく心躍る体験ができました。
やはり旅というものはいいものですね。
同じ場所でも時期や年月によって感じ方が違う……このような感性だけは大切にしたいものです。
できることなら、早い内に訪れることができなかった『金蛇水神社』『青葉城址』『白石城』へリベンジを果たし、その模様をお伝え致します。