備忘録

〖備忘録 第114譚〗仕事は暇つぶし

 おばんです、シードルです。

 坊主も走る師走……気が付けば、今年ももうすぐ終わりを迎える12月へと差し掛かりました。

 年の瀬ともなるとクリスマスやお正月関連の商品で物流やスーパーを始めとする物販は大忙し……その他、物販と関係のない職種もキリ良く仕事を片付けようと大忙しでどこもかしこも忙しなくなります。

 私自身、今は介護職という繁忙期とは無縁の業界に勤めていますが、18~20歳の頃はガソリンスタンドや倉庫関係のアルバイトをしていたので、その辛さというのは身をもって体験しています。

 寒風吹き荒れ、暖房の無い倉庫で定時越えの作業なんて地獄そのものでしたからね。

 この月を嬉しいと思うのは冬休みやケーキ、お年玉がもらえる幼稚園児から大学生までといったところでしょう。

 大人になると「勘弁してくれ……」と泣きたくなる始末……若人よ、大人になる前に存分に楽しみなさい!

 さて、新しい職場に働き始めてようやく3ヵ月……仕事としてはようやく慣れはじめる頃といったわけですが、私の場合はもう慣れるをすっ飛ばし、一戦力として数えられる有り様……。

 ほんと、自分でいうのもおこがましいですが……なんせ入社してすぐ3日で利用者さんの顔と名前を一致させ、2週間で日勤だけでなく早、遅番を独り立ちとなり(諸事情で同行は2日または1日のみ……)、入社月の月末には夜勤が始まり(夜勤同行は一度きり)…………次の月にはベテランでも手を焼く介助拒否の利用者さんを懐柔し、休日代替出勤や超勤、しまいには夜間の緊急対応と濃密な3ヵ月を過ごしました。

 異動とかならまだしも、経験はあるとはいえほぼ新人なのに……と何度思ったことか。

 そんな中、会社内でもいざこざが発生しほぼボイコットに近い出社拒否や他者には分かりづらい嫌がらせなどにも遭遇したりしました。

 ようやく落ち着き、一区切りついたので久しぶりに投稿したといった具合です。

 まぁ、今月は仕事に大きく関係ある月『師走』ということなので今回は『仕事』の在り方について少し考えてみるのも良いかもしれません。

 仕事の愚痴を述べたところで大人に憧れる若人の夢を壊したくもないですから……。

 では、手始めに……私を含めた皆さんは一体何のために仕事をしているのか?

 やりたいことがあるから?

 生活をするため?

 老後の不安を解消するための貯蓄?

 人それぞれ事情はあると思います。

 でも、仕事が自分のやりたかったことであり、夢であり、それを楽しくやっている方というのは芸能人でもない限りあまりいないのではないでしょうか?

 大部分の人は収入……すなわち『お金』を頂くために仕事をしています。無論、私もその一人。

 嫌なことや苦しいこと、大変なこと……それらを自分の時間や労力の『対価』としてお金に換えて頂いているというわけです。

 逆に私達も暮らしているためとはいえ誰かが時間をかけて作った物やサービスを得る『対価』としてお金を支払い、社会を生きています。

 これだけ見ればごく自然なことなので仕事に対してお金をもらっている以上、文句をいう筋合いはないのですが問題はその対価に対する『価値』の差が仕事内容や業種にあるということです。

 一般的に大変なことや責任、希少性のある仕事ほど価値を高く設定しなくてはなりませんが……なぜか現場で体を酷使している仕事の人ほど給料が低く、機械操作やプログラミング、国会などで居眠りをしている議員のほうが報酬が莫大という逆転現象が発生しています。

 もちろん、機械操作やプログラミング、議員は本来希少性が高いうえ有事の際は責任を持って働かなけらばならないので給料が高くなるのが当然ですが、今ではその責任から逃げたり、欠陥あるシステムを作って一時をしのごうとしている行動ばかり……そのため、現場で働く人達の反感を買っているのは必至といえるでしょう。

 その典型例が介護や医療といった現場。

 大部分は『福祉』という部分で国の管轄や影響を諸に受けているのに直下の下部業界にあたるためかほぼ放置状態となっています。

 人材が不足しているのに専門学校卒業者の資格交付制度を廃止したり、質が低下するからと手間と時間のかかる研修を導入したり、挙句の果てには人材不足を解消するため海外から来た人の受験においては不合格でも資格を交付するといったハチャメチャぶりを発揮しています。

 制度においても在宅介護を推奨しているのに在宅における支援の対象を狭め、それによる訪問介護や看護継続を困難にさせたり……「自宅で最期まで」を謳っているわりにはそれに必要な訪問系の事業所が軒並み閉鎖せざる負えないという真逆のことをしています。

 介護業界に長くいる私ですが「日本は本心では国民を根絶やしにしたいのだろうな」とつくづく感じています。

 そういう思惑ならトンチンカンな政策の意味も腑に落ちる……おっと失礼しました。

 話がだいぶ逸れてしまいましたが、つまり仕事をしてそれなりの対価をもらえれば人はその仕事に対して不満などない筈です。

 不満があるのは理不尽さや対価が見合わないから、といったことがあるからでしょう。

 そして、退職へと繋がる要因としては……

・仕事と報酬が釣り合っていない

・自身と仕事の相性が合わない(または働く人と合わない)

・諸事情(病気やケガ、家庭等)により出来なくなった

 などが挙げられます。

 日々の不満が燻り、やがてある時を境に発火して、辞職という大火に繋がるわけです。

 では、そんな不満だらけの仕事を続けるにはどうすれば良いのか?

 それは『割り切り』です。

 自身の中で妥協点を見つけ、それを基準に線引きを決めると意外と大変なことが起きても辞めないものです。

 結構、介護業界に対する愚痴を述べた私が今でもこの仕事を続けている理由としては……この仕事しかできないから、ということとやはり相性というか仕事自体とウマが合うからといったところです。

 他の人から見たら他人の下の世話や認知の方のある対応、職場の人間関係など大変なことはありますが……それでもガソリンスタンドのような「1ヶ月にワイパーを何本売れ!」というような営業ノルマや繁忙期、倉庫のような極寒灼熱の環境の中で作業するということに比べればだいぶマシ……というか極楽なんですよね。

 介護には何かを売るというような営業ノルマは無し、販売関係じゃないので繁忙期や棚卸なども無い。倉庫と違って施設の中はある程度、温度調節をしなければならない環境なので汗水垂らすのは真夏の入浴介助くらいなものです。

 毎日、似たようなことを繰り返して、事故や怪我、虐待を起こさなければある程度はやりやすい仕事といえるでしょう。

 これが成果によって評価される仕事が好きという人には合わないかもしれませんが、成果がストレスという人には合う仕事……これが相性というものです。

『割り切り』については人それぞれ……私の場合は―――

・社会的信用が得られれば良い。

・独りで暮らせる分の報酬が貰えれば良い。

・ある程度の休み(年間休日120日)

・負担の少ない仕事であれば良い(何か発生した際に一人でも何とか現場を回せる業務負担)

・人生における暇つぶし

といった感じです。

 ぶっちゃけ、介護業界に対する希望とか未来とか、高報酬、人間関係とかは考えてないですね。

 それぞれ搔い摘んで行くと……まずは社会的信用。

 これは前職を辞めて無職の期間が長かったことに由来しますね。

 ある程度資産があり、税金も払って保険証もある……けれど、やはり病院に行く際や何かで職業を聞かれる際に「無職です」というのは恥ずかしいんですよ。人目も気になりますし…。

 昨今では早期リタイヤの『FIRE』や起業が流行っていますが、資産がいくらあるといっても働いていない以上は『無職』ですし、起業家も聞こえは良いですが『自営業』……つまり個人商店や八百屋と大差ないんですよね。

 ちなみに株で大儲けしても基本は『無職』扱いです。

 社会的信用を手っ取り早く手に入れるにはやはり『会社員』が一番なんですよね。

 それに働いていないと賃貸物件も借りられず独り暮らしも出来ません。

 会社に属していないと医療費の補助も微々たるものしか受けられない。

 働いていないとクレジットカードの審査や株の証券口座も厳しくなる。

 つまり一人で自由に暮らす……そのためには働いて不自由にならなければならない。

 不思議ですよねぇ。

 続いての点は『報酬』ですね。

 前職を辞め、沖縄や九州、四国、中国地方、兵庫や北海道と長期にわたって旅をしていたのですが、意外と贅沢をせずに食べる、寝る、観るの生活だけしていると不思議とお金が掛からないものでした。

 まぁ、時にはお土産を買ったり、ちょっと良いホテルや列車に乗ったりもしましたが結構良い思いはしました。

 常に各地を渡り歩き、物を最小限にしていたというのもあるのですが……人間的な普通の生活をしていればそんなに出費はしないのだと気づきました。

 働いている時に出費が多かったのは物欲、快楽や悦楽といったストレス解消に使っていたものが大半で、すなわちストレスがそれほど無い仕事や生活をする分にはお金はそれほど必要無いと考えたわけです。

 そのため、前職までは2DKの賃貸に様々な趣味の物を置いていた私ですが、今ではワンルームの部屋にミニマリストほどではありませんが物の少ない生活をしています。

 生活レベルは下がりましたが、部屋の行き来が無くなった分……楽に行動できるようになり家賃も下がって暮らしやすくなりましたね。

 そのため給料の部分は前職とほぼ変わらないですが、余剰金ができるほどに……。

 その仕事の条件としては体の心配もあり休日がしっかり取れることと負担が少ないことを念頭に置いて探しました。

 取り合えず、給料内容については二の次……多くの人が見たら「えぇっ!?」と驚くでしょうが、地方における介護業界の給料はほぼ似たり寄ったりで低すぎたり、高すぎたりすると業務がハードだったり休日が少なかったりするものです。

 体を壊してしまったら高い報酬でも病院代に消えてしまう……それが一時ならまだ良いですが、下手をすると通院という大きな出費になります。

 それなら、体も心も壊さず給料が少なくても長く勤められる所のほうが後々良くなります。

 そうして選んだのが現在の職場です。

 何か有事があった際にも一人で現場を回せるような負担の少ない職場……案の定、この3ヵ月でも急な勤務変更や人員不足がありましたが、現在のところ問題なくこなせています。

 転職市場では給料アップが注目しがちですが、給料が変わらずとも業務負担が軽くなれば転職成功と私は思っています。

 人間関係については……どの職種や業界には必ずあります。

 だから職場の人間とは仕事のみの関係というドライ具合が丁度いいわけです。

 お局や嫌な人、ソリの合わない人は必ずいますが……そういった人達は仕事で黙らせる。

 成果を出さなくてもガンガン動いて、何事も率先してやればそういった人達は黙るものです。

 寧ろ、その人の仕事も奪う気でやれば嫌がらせも次第に減っていきます。

 仕事において仕事をさせてもらえない、というのが一番の嫌がらせになりますからね。

 無論、実際に奪ってはいけませんよ?

 こういう風に生きていると日々があっという間に過ぎていきます。

 つまるところ人生の暇つぶしです。

 がばいばあちゃんも「仕事は暇つぶし。暇を潰せてお金がもらえるんならこれ以上に良いことはない」というくらいですからね。

 死ぬまで日々を生き、できたお金で楽しみ……そしてあの世に行く……人間が生きるというのはそういうことです。

 仕事とは楽しみもあり、苦労も辛さもあります。時に愚痴を言い、喜びを分かち合い、社会の一員となる手段。

 難しく考える必要はありません。

 もし仮に介護の仕事以外で相性の良い仕事ができるのであれば、私もそちらへ転職するでしょう。

 仕事とは社会を生きるうえでのツール、人生における暇つぶし……師走で忙しい時ですが、心は楽に考えていきましょう。

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