おばんです、シードルです。
年々、住宅街に現れる熊『アーバンベアー』が問題になってきていますね。
しかもこの頃は冬にも関わらず、出歩いている……冬眠という概念はどこへ行ったのやら。
原因としては住宅街の開発が進んでいるためとか、食糧が不足しているからとか色々といわれていますね。
これが確定とまでは分からないので強くいうことができないのですが、本当にそうなんでしょうか?
食糧不足問題に関しては「今年は過去一の食糧不足」とここ3年ほど毎年報じていますが、そうなるとゲームのボスやボジョレーヌーボーのような感じに思ってしまいます。
年々減り続けているのでしょうか?
ただ、例年に比べて変わっていることは確かにあります。
それは住宅街に現れるようになった野生動物が熊以外に増えてきたこと。
釣りをする身としては里山で野生動物に会うのはしょっちゅうなので、もう見慣れたというか別に驚かない事象ではありますが、結構な種類が街中に現れているのは珍しいことです。
特に岩手では私が知る限りだと、猿や猪といったものも増えてきました。
住宅街に猿が出るなんて岩手ではなかなか珍しいんですよ。
特に猪なんか何かの文献で読んだ際に元々岩手にはいなかったというから驚きましたね。
そして、世間の反応と真逆なのが鹿とカモシカ。
カモシカは天然記念物に指定されていて、東京とかでは現れるたびに大騒ぎしますが、岩手ではごく普通に見かけるポピュラーな動物。
私はむしろ、鹿よりも見ているのがこっちなぐらい遭遇率が高いです。
なんせ渓流釣りをしている時に視線を感じ、見渡したら対岸で何かをむしゃむしゃ食べながらこちらを見ていたくらいですからね。(その後、30分ほど何かを食べながら私の釣り姿を鑑賞した後、どこかへ去っていきました)
もののけ姫のシシ神様と会ったらあんな感じなのでしょう。
ちなみに対する鹿ですが、こちらは意外にも岩手にあまりいなかったとされる動物らしいです。
現在は宮城の金華山や宮古の重茂半島を中心に大量にいる鹿ですが、元々明治から昭和にかけての乱獲により本州に棲むホンシュウジカは大船渡市の五葉山周辺が最北端生息域とされていました。
その後、絶滅防止のために保護を行ったところ今度は逆に増えすぎてしまい、今では県全域に生息するようになったということです。
そして、動物や自然保護が提唱されているこの世の中にこの発言をしても良いのか迷いましたが……色々な文献を漁っていると、自然も動物も実は昔より増えているそうです。
というのも、先ほどの鹿の話題にも触れた通り……明治から昭和にかけてはまだ木材利用や狩猟が盛んに行われていました。
建物も木材、煮炊きをするための炭などとにかく生活において木が欠かせないもので、昔の日本はあちこちが禿山になるほど伐採が盛んで、森林の消滅危機に瀕していました。
さらには文明開化により肉食が広まり始め、銃も改良あり鹿や猪、熊どころか狐や狸という小動物の獣まで狩られて個体数は減少していたそうです。
現代では山は至るところにある日本ですが、そのほとんどが植林によって再生されたもの……法律の整備や規制により自然と動物が回復した姿です。
つまり、住宅の開発で生息域に侵入した人間が悪いとか、食糧不足で動物が住宅街に現れるようになったといわれ、どれも一理ありますが根本的な原因としては……
動物の数が昔の時代同様に回復してきた
というのが事実なんじゃないのかな、と思います。
そして、親から子へ人間の恐ろしさを伝える教育がきちんとされていなかったり、山と人間の住む境界が曖昧になってきたことにより、下りるのが容易くなったことも拍車をかけているのかもしれません。
だからといって「熊を殺すな!」とは言いません。
私も殺生は嫌いですが、残念なことに「楽して美味しい物が食べられる」ことを知った野生動物はどんなに山奥へ放しても人間の住むところにやってきてしまいます。
それは動物の本能というより、生き物としての本能……我々、人間が宝くじを買って一攫千金を求めるのと一緒です。
それどころか、それを覚えてしまった野生動物は縄張りを追われ……山にある食糧を自分で確保することもできず、仕方なく人間の住む場所にやってくることだってあります。
例えるなら犯罪を犯して服役し、その後出所してもどう生きて良いか分からずにまた罪を犯して刑務所に戻るを繰り返してしまう方と同じです。
だいぶ前ですが、北海道で野生の熊に餌付けを行った人がいてそれが原因で熊は人間の物しか食べることができず、捕獲されては放されを繰り返すも……自然の縄張り争いでは他の熊に勝てず、餌を得ることもできずに餓死したという話を聞いたことがあります。
「一度、人の味(人間の食べ物や人間)を覚えた熊はもう二度と野生では生きていけない」
そんなことをマタギの方が語るくらいです。
殺すのは可哀想という方々に今までのことを踏まえて問いたいですが、銃で殺されるのとひもじい思いをして餓死するの……どちらが可哀想でしょうか?
結局のところ、直接であれ間接であれ我々人間が原因であり、殺していることに変わりはないでしょう。
それを今まで水際で防いでいたのが、先ほど出てきたマタギです。
自然と人間の住む世界の境界の番人であり、彼らのお陰で今まで動物の被害が増えていなかったといっても過言ではない存在。
そんなマタギについてはまた別の機会に触れたいと思います。
人と動物……真の意味で共存する未来が来ることを願っています。