自然

温泉地に秘めたる衣の瀑布【花巻市‖薄衣の滝】

 夏の暑い盛り……涼を求めて人々は海に山に様々な場所に赴きます。

 中にはカフェやエアコンの効いた家の中など、屋内で過ごすという方もいるかもしれません。

 特に近年は熱中症警戒アラートなどもあり、無闇な外出や日差しが強くなる昼頃などの外出は命に関わるほど注意が必要となってきました。

 しかし、せっかくのいい天気でただ屋内で過ごすのももったいない!

 けれど、外に出たらすぐに暑くなってしまう……そんな悩みを持っているのは私だけでしょうか?

 そんな時は涼しい木陰の中、マイナスイオンを浴びて涼しくなるのはいかがでしょうか?

 そこで今回は非常にアクセスがしやすいかつ、自然たっぷりな名勝をご紹介します!

森林浴を楽しみながらマイナスイオンも浴びれるスポット

 その場所は花巻市にある花巻南温泉峡の入り口の近くにある『薄衣の滝』です。

 この滝は志戸平山の中腹にあり、高さ四十メートルの岩盤上から流れ落ちています。

 滝の名前としては薄衣の滝で名が知れていますが、実際にはその上に『天狗の滝』という別の滝があり、二層に屈折して落水しています。

 膨大な水量が流れ落ちるような一般的な滝のイメージと違い、まるで薄い布を垂らしたかのような優しい流れの滝でほど良い涼しさを感じることができます。

由来

 この滝の名前の由来ですが、始めから地元の人から呼ばれていたものではありません。

 その起源は大正4年まで遡り、当時開通したばかりの電車(旧花巻電鉄)で志戸平温泉に来ていた北白川宮成久親王殿下(北白川宮成久王)がご宿泊の折、志戸平温泉旅館の主、久保田逸郎氏の案内でご散策され、滝の風光明媚な景観に大層喜んで命名されたと伝えられています。

 つまり、当時の皇族の方によって名付けられたというわけです。

アクセス

 そんな薄衣の滝は花巻南温泉峡を象徴とする豊沢川沿いにあり、川沿いの道路に案内板が設置されています。

 国道4号線やバス、タクシーなどを利用する場合は『花巻南温泉峡』の看板もしくは『ホテル志戸平』を目印に県道12号線を山に向かって行く途中に案内板を見つけることが出来ます。

 案内板に従い道をそのまま進んでいくと薄衣も滝の駐車場に着くことが出来ます。

 注意する点としては県道12号線までは広い道路ですが、案内板から先の道は幅が狭くなります。

 滅多なことでは対向車は来ませんが、スピードは出さずに徐行運転すると安全です。

 また、薄衣の滝の駐車場は砂利やアスファルトによる舗装はされておらず、水気もあることから地面が柔らかく泥の少し固まった状態です

 雨の後などは地面がぬかるみ、タイヤがハマる恐れがありますので日なたのある箇所に停めるようにしましょう

探勝レポート

 それでは早速、探勝レポートといきましょう!

 今回は薄衣の滝駐車場からのスタートです。

薄衣の滝 駐車場 看板

 駐車場には冒頭で紹介した薄衣の滝についての由来や概要が掲載されています。

 この看板によれば滝までは200メートル、徒歩5分とのことですが、果たしてどうでしょうか?

薄衣の滝 道中

 薄衣の滝への道中はご覧の通り、源流を上っていく形となります。

 川の流れに勢いはありますが水深は浅く、水量もそれほど多くありません。

 しかし、岩に苔がびっしりと生えており、道も岩だらけで水気もあるので滑って転倒……そこから怪我へ繋がるリスクが非常に高いので、短距離短時間、気軽に行けるとはいえサンダルやハーフパンツなどの軽装は絶対に避けましょう

薄衣の滝 桟橋

 一応、川には桟橋が架かっていますが画像でも分かる通りかなり濡れています。

 基本は川沿いを中心に歩くので、長靴や防水加工が施されたアウトドアシューズが非常にオススメです

薄衣の滝 道中の川辺

 森林浴には最高のロケーションですね!

 この道を北白川宮成久親王殿下が歩いていたのだと思うと実に感慨深いです。

 この日は何も動物には出くわさず、大きなクモばかりと出会ってしまいましたが、マムシやクマなどと遭遇してもおかしくない道中です。

 熊鈴や虫よけスプレーなどは絶対に携帯しておきましょう

 そんなこんなで川沿いを歩いていると……

薄衣の滝 近く

 落差のある岩の先にようやくお目当ての滝が!

 岩に手をつき、ゆっくりと上っていくと……

薄衣の滝

 マイナスイオンを放出する美しい滝が姿を現しました!

 薄衣の滝にようやく到着です。

薄衣の滝 アップ

 滝行とまではいかなくても薄衣の滝はかなり近くまで接近することが出来ます。

 滝の大きさは高さ約20メートル、幅約7メートル。

 水量は膨大とまではいきませんが、薄い布を垂れかけたような優しい飛沫を感じられ、ほどよい涼が暑さを和らげてくれます。

 もし、イワナがいれば絶好のポイントになっていたでしょうが、残念ながらこの辺りでは魚影を見ることが出来ませんでした。

薄衣の滝と天狗の滝

 近くには滝の名がある岩がありました。

 これを見ると薄衣の滝の上にある小さな滝が天狗の滝らしいです。

 これが二層の滝と呼ばれる理由なんですね。

 しかし、辺りを見るにシシ神様が出てきてもおかしくない雰囲気です。

 ちなみに徒歩5分とのことですが、私の場合……往復で約15分ほど掛かりました(^_^;)

 時間が掛かった原因としては私の体力不足、クマへ警戒心が強すぎていたための進行速度の減少など……多岐にあると思われますが、一番は歩きづらい岩場やアップダウンの地形が多かったためによるものと感じています

 距離では約200メートルとありますが、恐らくは地図上での距離であり高低差を考慮するならばその2倍と見積もってもいいかもしれません。

 車でのアクセスはしやすいですが、なかなかに険しい道中だったと感じました。

おわりに

 ちょっとした冒険を楽しんだり、アウトドアの入門として体を慣らすには程よい緊張感も味わうことが出来る場所だと感じました。

 体力はなかなかに必要で高齢者や車椅子を使用する方には厳しい道中でしたが、終始木陰が日差しを遮ってくれていたお陰か日差しを直に浴びることはなく、楽しむことができました。

 また、北白川宮成久親王殿下のお墨付きもあってか薄衣の滝と森が神秘的な空間を作り出し、絶好のインスタスポットにもなっています。

 この夏は皆さんも神秘を求めて、ぜひとも冒険に繰り出してみてください。

 人生は何事も挑戦と冒険です!

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