最近なんだか良くないことが続く……そう思っている方はいらっしゃるでしょうか?
ストレス社会ともいえる現代では、病気や心身の状態によって左右されるといっても過言ではありませんが、ストレスという言葉が無かった昔は『穢れ』というものによって引き起こされると考えられていました。
そんな穢れを祓うことができるといわれていたのが水神…………特に『流れ』に起因する神々です。
今回はその身にまとわりつく穢れを洗い流すことができる神様を祀った神社をご紹介します。
祓い清めの姫神を祀る神社
概要
矢巾町の『国道4号線』から外れた田園地帯の中にある神社。それが今回ご紹介する『早池峯神社』です。
元々、早池峯神社は花巻市大迫町にある霊峰『早池峰山』の花巻方面登山口にある同名の『早池峯神社』が大元となっており、昔から修験者の修行の場になっていたり、神仏習合の名残を色濃く残す神社です。
そこに祀られている神『瀬織津姫』は大祓詞や神社の伝承などでは登場しますが、神話の中には登場しない謎の神として知られています。
説については龍神や弁財天、また天照大神の荒魂だとか、男神としての天照大神の妻だとか…………さまざまなものが出回っていますが、具体的な詳細は不明でアラハバキ神同様、大和朝廷により歴史の闇に封じられた神といわれています。
ただ、天照大神とは何かと関わっているのでそこに繋がっているのは確かなようです。
矢巾町にある『早池峯神社』の由緒としては………
本神社は平安時代前期延暦十四年(七九五)に二柱の姫神を新山大権現として、創祀したと伝えられ、古より土橋地域また地域を超えて廣く崇敬されている。社地廣大で樹木鬱蒼と繁茂し、参拝者は自から荘厳の気に満たされる。往古社殿のない時代の斎場と推察される、岩石三箇が本殿の後方にあり社殿のない神社の神跡を今に伝える当地方稀に見る古跡である。土橋村廣田家の祖先、廣田宗実が漢学修業のため早池峰山に籠り文学を研究し、その後天文二年(一五三三)八月十七日社殿を此の地に建立し早池峯神社と改め創祀した。天保十年(一八三九)に社殿を再興し、明治十二年十二月村社に列火格された。
奉納種目 昭和八年 記念碑、石鳥居、石玉垣、唐獅子、社殿前参道舗装、護神坂石段、御神水井戸、昭和五七年八月 社務所、拝殿 昭和六三年八月 神楽殿、主要建物 本殿流造 四坪、社務所 一六・五坪、神楽殿 一四坪、社務所 一六・五坪、境内地 一五二十坪、氏子 一三五戸、廣田家が宮守として末永く管理に努めている。
略縁起
そもそも新山大権現の本地を申し伝え奉れば、人皇五十代桓武天皇延暦十四年(七九五)乙亥三月十七日三柱の姫神天降り坐し坐す、新山と申すは、古き松杉苔むし老木の枝にはつる草茂り、かすかに、洩月の見える、木魂ひびき鳥の声あたかも深山幽谷の如し、南に北上川の底清く水音高くして御手洗水の雲井に栄え、登る月影浪に光を浮べ北は千尋に余る廣野に萩薄生繁り是を名付けて新山野と申すなり、四方青垣山にして宮殿棟高く御床津比の動き鳴る事なく、豊明に明らひ座しまして、禰宜の振鈴弥高く声あらたし、今も生尤茂受らぬ三ツの石あり三柱姫神達鎮座坐す也故是を彰向三神石と申す也…」略
この略縁起は天保十年(一八三九)に当社再建の際写されたものである。
引用元:早池峯神社 由緒書き
この神社以外にも岩手各地には早池峰山をはじめ、早池峯神社という神社が複数あり、古くから信仰されてきました。
新山大権現を祀っていたもののほとんどが『しんざん』と呼ばれ、『新山宮』とされていましたが、後にほとんどが『早池峯神社』または『新山神社』と改名されました。
また記述を見るに現在の社殿裏にはかつての斎場……儀式を行う場があったとされています。
その昔、鳥居や社殿の無かった頃は人々は石や山を御神体として祭っていたとされ、この斎場も恐らくはこの頃の名残とされています。
今ではほとんどの神社でその跡が無くなっているため、とても貴重な史跡といえます。
御祭神・御利益
祀られている神様については以下の表に簡単にまとめてみました。
御祭神 | 御利益 |
瀬織津姫命〔せおりつひめのみこと〕 | 祓えと浄化の神 対象:厄払い、災難除け、開運 |
瀬織津姫は罪や穢れを洗い、海へと流してくれる神様です。
そのため「最近なんだかツイていない」とか「悪いことが多く起きている気がする」と言う場合の厄払いとしての御利益がとても強いです。
また、その性質から災難を退け、開運をもたらすことから運気を好転させたりリセットすることに長けているといえます。
アクセス
『早池峯神社』は矢巾町の田園地帯の中にあります。
ルートとしては『国道4号線』を矢巾方面に走り『南部屋敷』と自動車販売店『サード盛岡矢巾店』のある交差点を遠野方面(花巻方面から来た際は右、盛岡方面から来た際は左)へと曲がり、まっすぐ進むと左手にあります。
境内の入り口付近には駐車場所もあり、安心して停めることができます。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は神社前にある駐車場に車を停め、スタートです。
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こちらが神社入り口付近にある駐車場。
道路に面しており、鳥居を挟んで左右にあるので停めやすいです。
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駐車場には田園地帯でお馴染みの豊作を祈念して建てられた石碑、由緒書きなどがあります。
もう一つの石碑については字が読めませんでした……。
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それでは中へと入っていきましょう。
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境内へ入る前に手水舎で身を清めます。
雪がちらついていたにも関わらず、清らかな水が凍らずに流れています。
冬季において無人の神社はほとんどの所が水が凍結しないよう水道を止めているのですが、これは嬉しい限りですね。

狛犬も立派で大きいです。心なしか笑っているように見えますね。
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毎度思うのですが、この石の額……よく落ちないよう取り付けているな、と思います。
地震なら仕方ないにせよ、雪や雨風でも落ちないのは本当にすごいです。
一礼して中に入ります。
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境内はそこまで広くなく社殿と繋がっている社務所と神楽殿のみの建物となります。
それでは周りを見る前にまずはお参りしていきましょう。
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鈴と銅鑼……二種類あるのですね。
神仏習合の名残がある神社にはよくある光景です。
傍にある『早池峯神社』の灯篭には龍が描かれています。
やはり龍神としての認識が強いようですね。
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お参りを終えたので、辺りを見渡してみましょう。
こちらは神楽殿。やはり例祭ではないので閉まったまま……。
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こちらは神社の裏手……由緒書きではここに斎場があるとのことですが、落ち葉が多くて見つけられませんでした。
なお、向こうは私有地になっていますので奥へ行く際はご注意ください。

近くに石碑を発見。
思わず、三つの岩石の斎場跡かと思いましたがよく見ると他の神社でもよく見かける庚申塚をはじめとした石碑群でした。
もしかすると、左手の方にあったかもしれませんが……吹雪が急に出てきたため断念です。
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ですが、タダでは帰りません。
御朱印と御守を手に入れてきました。
どちらもデザインが素敵です。
御朱印は300円、御守は500円。
無人ですが、拝殿の扉を開けると中にあります。お金は賽銭箱の中に入れましょう。
昨今では南海トラフが騒がれている中、この御守を持っていれば避けられるでしょう!
おわりに
厄払いと厄除けに特化した瀬織津姫神は町中のある神社ではあまり祀られている所が少なく、その多くは滝や山といった自然豊かな場所にあります。
その点では今回ご紹介した『早池峯神社』は田園地帯の中にあり、国道に近い所にもあるため足を運びやすい神社といえるでしょう。
災害の多い世の中ですが、皆さんも厄除け、厄払いに瀬織津姫神をお参りしてみてはいかがでしょうか?