便利なものやシステムが急速に発達してきている現代………我々の生活は各段に利便性に富んだものへと変化しましたが、便利になり過ぎてしまったがゆえに基本的なことや大切なことを忘れている傾向にあります。
一例としては火の起こし方や飲み水の確保……暗い中での立ち回りなどといった原始の頃から備わっていた感覚や命の大切さといったところです。
娯楽においてもゲームやサブスク……本人自身が心から楽しむというよりもお金をかけることを重視する、という点に重きを置いているように感じます。
これらも便利性が生んだ産物といえるでしょう。
とはいえ、今さら昔の生活に戻れというのも些か極端です。
ならば、忘れないためにも時々振り返るのが良いでしょう。
それに最適なのはアウトドアの中でも少しばかりレベルの高いもの……
というわけで、今回の『すゝめシリーズ』のテーマはずばり!
『キャンプ』です!!
キャンプについて
キャンプとは?
『キャンプ』とは野外での一時的な生活を意味し、正式名は『キャンピング』といいます。

現在ではキャンプと聞くと高価なテントや小屋のような建物で過ごす……大人な趣味、値段が掛かる難しいもの、といったイメージがありますが、実際にはそんな堅苦しい決まりはなく洞窟を利用したり、穴を掘ったり、雪山では雪を使った雪洞で過ごすこともキャンプの内に入ります。
近頃ではキャンプをするうえで効率的な道具(ガジェット)やブランド品、お洒落重視で町からもほど近い利便性のあるキャンプ場が人気を博していますが……キャンプの効果を一番強く実感できるのはやはり都市部から離れた自然の中です。
普段の日常から極力離れた環境に身を置き、普段使っているものを一から行うことこそがキャンプの醍醐味といえるでしょう。
よって、釣りや登山のように日帰りで済むアウトドアと違い、やや難易度が上がる点も考慮しなければなりません。
キャンプを趣味にする数々のメリット
体力が身に着く
キャンプは野外で生活するため、体力がとにかく必要なアウトドアです。
寝床であるテントの設営や道具の運び入れ、火を起こすための薪割りや火おこし、水を汲んだり……等、普段はスイッチを入れたり、蛇口をひねったりするだけで済むものを一から創造しなければならないので、かなり体力を使います。
こういうと「体力が無い人は無理なんじゃ……」と心配してしまうかもしれませんが、決してそんなことはありません。
なぜなら、代わりに『時間』があるからです。
現代はスマホをいじったり、テレビを見たり、ゲームをしたりと様々なコンテンツによる娯楽に溢れています。
その楽しいことを重視するために人は家事を怠けがちになったり、時間が足りなく感じてしまうのです。
一方で本格的なキャンプとなるとそうはいきません。
町から離れた山や海岸では電波は入りにくいため、スマホで動画を見たりすることができませんし、電気がないのでテレビやゲームもできません。
連絡手段が限られた環境なら、どんな人でもスマホの電池を無闇に使ったりすることはないでしょう。
そうなると、普段それらに費やしていた時間ができるのでその分、食事や寝床の準備に使うことができます。
自分のペースで体力づくりができる……家でトレーニングするよりも野外でキャンプをした方が何倍も実践で使える体力が身に着きます。
規則正しい生活ができる
先ほどの時間ができる部分に通じるところがありますがキャンプをすると驚くほど規則正しい生活ができます。
普段はスマホいじりなどで遅寝遅起きだったのが、スマホもなく諸々の準備で疲れているのですから自然と早寝早起きになります。
よく焚火をして語らいながら星空を眺める、というシチュエーションがありますが、実際に星空や焚火を眺めるにしても4時間も5時間も眺めるわけではありません。
普段の夕食が19時だったのが、火や食材の準備をし、そのまま食事をすると18時頃だったというのがよくあります。
そうして暗くなり、語らいながら夜空を眺め……だいぶ経ったと思ったらまだ2時間しか経っていなかったというのもよくある話です。
野外では掛け時計なんてものはなく、腕時計でしか時刻を知ることができないので、こうしてみると普段いかに我々が時間に振り回されているのかが分かり……逆に原始から備わっている体内時計が正確であることを思い知らされます。
このことからも野外での生活は一瞬にして強制的に体内時計をリセットし、規則正しい生活に戻すことができるかが分かります。
体内時計や自律神経云々で薬やサプリ、朝日を浴びるといったややこしく複雑なことをするより月に一回キャンプをした方がてっとり早いです。
普段の生活のありがたみを知ることができる
キャンプでは普段の生活で使っているライフラインというものがありません。
中には電源があったり、水道があるキャンプ場もありますが、基本は全て自分で用意します。
着火剤やバーナーを用意したり、給水タンクに水を入れたり、クーラーボックスに食材を入れたり……人によってはポータブル電源というものを持っていき、電気を確保する人もいるかもしれません。
それでも野外の生活ですから予想外やハプニングなんかは必ずといっていいほど起こります。
物を忘れたり、雨でなかなか火がつかなかったり、トイレに近い場所が確保できなかったり…………そんな時、大抵の人は普段の生活がいかに恵まれたものかを実感します。
雨風をしのげる家屋、簡単に使えるガスや電気、水道、歩いて数秒のトイレ、簡単に食べられる温かいご飯、簡単に必要な物を購入できるコンビニ……これらはキャンプでは工夫しなければ、なかなか味わえないものでしょう。
普段の生活で「ハリがない」と感じる人は自ら過酷な環境に身を置くと、そのありがたみを体感することができます。
本当の幸せを実感できる
近年では様々な事案により精神的に弱ってしまう人が増加してきています。
いずれも「幸せというのが分からない」「自分が必要とされている存在なのか疑問に思う」などといった具合です。
私もよくそのような念に陥りやすいので気持ちはよく分かります。
そんな悩みを他人に打ち明けたところで「そんなことないって!」とか「それはまだ頑張りが足りない」だとか「世の中にはもっと辛い人がいるんだ」とか……ありきたり、または心無い言葉を掛けられるのがオチ。
お医者さんに相談すると、これは精神的に良いとか悪いとか何かと制限され、よく分からない薬を渡されたりする……。
言われた側からすれば頭では分かっているのですが「なにを綺麗ごとを……」と心のどこかで思ってしまうものです。
そういう場合は一度人から離れる方が賢明。
そうして、ひとしきり自分で動いて疲れ果て……気付けば不思議な充足感に満ち溢れ「あれ、自分は何に悩んでいたんだっけ?」となるはずです。
その点ではキャンプというのは実に理に適っています。
何をやるにも自由! 一見「何してるんだ?」と思う行動で人からとやかく言われても「物を忘れた」とか「ブッシュクラフト(ナイフ一本など荷物を最小限にして行う究極のキャンプ)をしている」といえば良いだけの話。
それを聞けばキャンパー(キャンプをする人)だったら物を貸してくれたり、「凄い」といってくれたり、何かアドバイスをしてくれる筈です。
他人のキャンプを見て馬鹿にする人は大抵にわかか、キャンプではなくバーベキューしにきた陽キャ集団なので捨て置けば良いのです。
分からないことや何かトラブルが起きたら近くの人か管理人さんに助けを求めれば良い話ですから……。
キャンプをする人というのは世間でいうところの『無駄』を楽しむことができる損得勘定がない優しい人達です。
自然の中で味わう贅沢な時間と優しい人達に囲まれればきっと本当の幸せも分かりますし、自分の存在意義なんてこともどうでも良くなります。
火を起こし、水を汲み、食事をして、自然の香りや音、風を感じて夜空を眺め……そして寝る。
必要か否かより、生きていることそのもので十分と思えるはずです。
非常時に役立つ
野営中心のキャンプをしていると災害時などの非常時に大いに役立ちます。
主に知識としては火起こしや天候、水の補給場所………技術としてはテントの設営やプライバシールームの確保などです。
ブッシュクラフトなどその場で代用できる技術を持つ人の場合は丈夫な棒とブルーシートがあれば簡単なポールテントを設営することもできます。
ライフラインが使えなくなったいざという時にキャンプで培った経験はきっとあなたを救ってくれる筈です。
キャンプにおける注意事項
そんな自由に出来るキャンプですが、いくつかの注意事項もあります。
ほとんどは基本的なマナーを守っていれば大丈夫ですが、場所によっては独自のものもありますので、使用するキャンプ場の概要を確認するのは必須です。
ここでは、キャンプにおける最低限の注意事項を紹介します。
マナーを守る
釣りの項目▼と似ている部分はありますが、マナーは絶対に守りましょう。

キャンプにおけるマナーとしては公共の場におけるマナーとほぼ同じですが、ここではキャンプをするうえでのマナーをご紹介します。
出会ったら挨拶をする
キャンプをする人達は社会の喧噪から忘れるためとはいえ、やはり無視されるのは辛いものです。
いざという時には協力する場合もあるので、出会った際は軽くでいいので挨拶をしておきましょう。
もしかしたら、それがきっかけで繋がりを持てるかもしれません。
直火はしない
昨今のキャンプブームで話題となったのは『直火問題』です。

直火とは焚火をなどをするうえで、地面や芝生の上に直接火を起こすというもの……礼でいうと学校でのキャンプファイヤーや石を円状に囲んでその中に木を積み焚火をしている、ドラマや漫画などで見る光景です。
キャンプといえばこれ、といった感じで憧れはありますが……現在ではほとんどの場所で禁止されています。
理由としては芝生や地面へのダメージの防止やマナーの悪いキャンパーが増えてきたことにあります。
細かく述べるならば、焚火をした後の処理をしなかったり燃えカスをそのままにしたり、ゴミを一緒に燃やしたり、生えている木の傍で焚火をしたりなどです。
燃えカスが風で飛ばされると他の利用者に迷惑をかけたり、火災の原因になったり、ゴミを燃やしたことによって異臭などが発生したりなど…………そもそも燃えカスの辺りにテントを設営したいとは思いませんよね? 汚れてしまいますし…………。
これらのことから現在はほとんどの場所で『直火禁止』となっているわけです。
もし、焚火をしたいならば専用の『焚火シート』と『焚火台』が必要なので用意しましょう。
車の乗り入れはしない
キャンプをする人は大抵が車に荷物を積んで訪れますが、そのまま車ごとサイト(テントなどを設営する場所)に入ろうとする人もいます。
車から荷物を直接下ろすのは楽ですが、場所によっては車で入るのは禁止になっているので、あらかじめ管理人さんに確認をとりましょう。
自然を大切にする
キャンプをする人というのは社会から離れて自然を楽しむために来ています。

そのため、木や花などを大切にし、自然保全に努めなければなりません。
ブッシュクラフト専用区画などは話は別ですが、薪を忘れたからといってその辺りの生えている木の枝を切ったり、皮を剥がしたり、草をむしって燃料代わりにしてはいけません。
落ちている枯れ枝や松ぼっくりくらいなら良いでしょうが、基本は薪なども自前で準備しましょう。
周りに迷惑をかけない
マナーを守ることと重なりますが、キャンプでは特に人に配慮することが大事です。
なぜなら、生活区画が野外にあるためプライバシーが曖昧になりやすいからです。
ここではそんなキャンプにおける人との関わりについて触れていきたいと思います。
他人のサイトを横切らない
テントが家だとするならばサイトは生活拠点……家でいうところの庭です。

こういうと誰もが理解できますが、実際にキャンプをすると守られていないことが多いのが現状です。
特に区画が明確にされている整備されたキャンプ場ならまだしも、どこにテントを設営しても良い『フリーサイト』ともなればその境目は曖昧となりがち。
さらに連休などで人が多くなると空いているところにテントを設営したことにより、トラブルになることもしばしばです。
無意識に横切る状況としては水場やトイレなどの共用スペースへの距離が近い道を行って横切ってしまう、夜などの暗い時に横切ってしまう、子供などが勝手に入ってしまうなどです。
他人のサイトは家の敷地という認識を持って行動しましょう。
スーパーや駅が近いからといって、他人の敷地内を無断で横断したりしないですよね? 不法侵入にもなりますし……。
共用スペースは綺麗に使う
トイレや炊事場など、キャンプ場にはみんなが使う『共用スペース』という場所があります。

道の駅などのトイレは無意識に綺麗に使えますが、不思議とキャンプ場の共用スペースは生活と密接なためか素が出てしまう場合が多いんですよね。
例を挙げると、バーベキューなどで使用した金網を洗って焦げなどをそのままにする、食器などを洗った際の残飯や食べかすを流しにそのままにする、歯磨きをした後に流しを綺麗にせずそのまま戻る、などです。
自宅ではともかくとして、みんなが使う場なので後始末は綺麗にするよう心掛けましょう。
音や照明に気を付ける
意外と見落としがちな部分として、音や照明に無頓着になりがちなことが挙げられます。
具体的には車で来た際にエンジン音や排気音が多かったり、暗すぎるからと強力な照明をいくつも吊るして屋台のように明るくし過ぎたり、大声で騒ぐことです。
テントは遮音性や遮光性はほぼ皆無のため、近くで話しているだけでもよく聞こえ、気になります。
人によっては早めに床につく人もいるので、夜間遅くなる際は音を小さくしたり、照明の光を弱くすることが重要です。
無茶はしない
キャンプをするうえで大事なのはとにかく無茶をしない、です。
ほとんどのキャンプ場では予約をしてから使用するのですが、天気が悪くなりそうだったり、疲労感が強いと思わぬ事故やトラブルに見舞われる恐れがあります。
そのため、体力や天候に不安がある場合は無理をしない決断も時には必要です。
キャンセル料がかかるからと強行した挙句にひどい目にあった、という話もありますから全てのコンディションが万全な時に行きましょう。
おわりに
キャンプというと聞こえはとても良く、敷居も高くなりがちですがとどのつまりは原始の生活の疑似体験のようなものです。
まして今は簡単に火を起こせたり、売店のあるキャンプ場があったりと昔に比べて難易度はかなり低くなったので誰でも始めやすいといえます。
初めてする場合は道具をひとしきり揃え、慣れてきたら徐々に道具を減らしていく……こうすることで技術も知識もつき、少ない道具でも生きていけるという自信をつけることができます。
評価や利益に囚われがちな世の中ですが、たまにはその喧噪を忘れて自然へ還るのも良いかもしれませんよ?