備忘録

〖備忘録 第16譚〗一番強い人とは?

 おばんです、シードルです。

 一番強い人……そう聞いた時、皆さんはどんな人を思い浮かべるでしょうか?

 腕力が強い人、争いに強い人、心が強い人……色々な強い人がいるかと思います。

 でもやはり根底にあるのは強さ=力というイメージ……けれど、不思議なことに『強さ』という言葉には良いイメージがあるのに、なぜか『力』というと悪いイメージが出てきませんか?

 権力、財力、武力、知力、科学力、体力……力には色々なものがあり、そのどれもが悪役サイド。

 そして、主人公側が精神論や工夫でそれを打破するという構図が多く見られます。

 別に力自体は悪くありません。

 力がなければ大切なものも守れないし、外敵を打ち倒すことができない。

 問題があるとすればその使い手の方……それを自分の私利私欲のために使い、他人を蹴落とすために使うから悪いイメージが定着するんですね。

 そのもっともたる象徴が『お金』だと思います。

 お金が全てじゃない、けれど何をするにでもお金は必要……ゆえに顕著に特徴が現れる。

 税金や裏金、闇金や献金と黒いイメージがある一方で募金や出資、投資や貯蓄と白いイメージがあります。

 最近はマネーリテラシーが普及しているおかげか「お金を持っている=悪」とか「お金を稼ぐことは卑しいこと」などというイメージが払拭されてきていますが、未だに黒いイメージを払拭できていない人がいるのもまた事実です。

 そして、多かれ少なかれお金は人間を惑わし、冷静な判断能力を失わせます。

 一時的に巨額の大金を手に入れたことで人生を狂わせることもしばしば……。

 けれども、よくよく考えるとお金そのものにはそんな力はありませんよね?

 だって、もしそうならお金に力があるとすれば大金を保管している銀行で働く人達はみんな人生狂わせてしまうのですから……。

 体力や腕力だってそう……使い方次第ではアスリートになれるのに力の使い方が分からず、持て余していることによってそれをイジメることに使ったり、マウントをとるために使うのです。

 学校なんかではよく見られる現象ですね。先生は倫理や道徳なんかを唱えることより、そういう力の使い方を教えるべきだと思います。

 そのランクが上がるもっともたる例が権力でしょう。

 職場や政界……それを駆使して他者を貶めたり、自分の好き勝手に振舞っているのを見るとなぜこうなるんだろうなぁ、とニュースを見るたびに思います。

 そう考えるとただ力を持っている人というのは強い人とは限らず……むしろ他者との競争に敗れた後、他の弱者を食い物にするまでなり下がってしまうとタチの悪い人に変貌してしまいます。

 これらを踏まえると一番強い人というのは……『力の本質を理解し、なおかつその力を誰かのために使うことができる人』といえます。

 アスリートはその力を使い、多くの人々に夢と希望を与え……政治家はその力を使い、国民の生活をより良いものへと変える。

 上司は部下を守り、社長は会社を導き、教師は教え子を育成するためにその力を使う……それが理想です。

 (私自身はそのような力はないので、羨ましい限りですが……そのような人達の手助けとなりたいものです)

 そういう人になるためにはやはり地道な努力で一歩ずつ力を付けていく、という過程が必要です。

 この少しずつ、というのが重要で一気に力を付けてはいけません。

 早くしたいのは分かりますが、一気に力を付けてしまうとその使い方が分からずに自分自身や他者との競争に敗れてしまうからです。

 別な言葉でいうなら『練度』でしょう。

 熟練すればするほど、力は発揮しやすくなりますので……往復してやり続ける、というのが重要です。

 その過程で自身に備わった力の本質を理解することができます。

 何もないと自分で自分を卑下する人も自分の興味があるものならひたすらにやり続けましょう。

 始めは低レベルでもいい、回数が少なくても良いです。

 腕立て10回とかジョギング100メートルとか……何なら、私のように毎日鉄棒素振りを100回だけでもいいです。

 とにかく、やり続けることが大事です。

 世間や周りの人に左右されず、目をかけてもらえなくても……自分だけは自分の可能性を信じましょう。

 そして、時が来たらそれを損得なしで他人のために使う……ここまで来れば完成です。

 他人のために自分の力を使う……そんなあなたが一番強い人です。

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