備忘録

〖備忘録 第29譚〗食べることを強いる人に物申す

 おばんです、シードルです。

 皆さんは『会食恐怖症』というのをご存じでしょうか?

 簡単に述べるなら『人前で食べることに不安や恐怖を感じる』症状をいいます。

 症状としては吐き気や動悸、震えなどがあり、社交不安障害の一種ともいわれています。

 私もこの症状があり、家族や友人たち、大勢の人がいる中で食事をすると猛烈な吐き気と腹痛に苛まれることもしばしばです。(現在は一人でお店に入り、食べることはできるようになりました)

 この障害の主な原因としては学校や部活における『完食指導』や周りからの『強要』があります。

 よく「給食を残すな!」とか「体重を増やすために食トレだ!」と無茶苦茶な量を課して、食べきるまで残らせたり、監視したり、あげくは説教したりする教育における悪習です。

 これが度を越すとアレルギーのある子にアレルギーのあるものを食べることを強要して救急搬送……という最悪の事態を招きます。

 この残さず食べることを「食育だ!」とか「命のありがたみを知る教育だ!」と話す教師がいますが、その結果……後に食べられなくなる障害が生まれるのを見ると教育と真逆のことをしているな、と思ってしまいます。

 また、周囲からの「食べなければ栄養がつかない!」とか「少食だと体を壊すからもっと食べなさい!」という家族や親戚、医者などがいますが……栄養失調で亡くなっていたのは食べたくとも食べられない時代で、少食で栄養失調で亡くなるというのは過度な摂食障害とかでない限り、現代ではあまりありません。

 それに今の世の中は量で栄養を補う昔とは違い、少ない量で栄養を摂取できるものがたくさんあります。

 さらに付け加えるなら過度に栄養を摂れば肥満や糖尿病といった生活習慣病のリスクも上がりますし、今ではたくさん食べるより少食の方が疲労感は少ないという研究データもあります。免疫機能も栄養が不足している状態での『オートファジー』が効果があるといわれていますし……。

 たくさん食べて発病と嘔吐のリスクがあるのに、なぜ日本人はこんなにもたくさん食べることを強要するのでしょうか?

 まぁ、歴史的背景として戦後の食糧難やたくさん食べて体と力が大きい力士などの影響により、昔から大食い=強者という通説が出来上がっているのが主な原因でしょう。

 そこは分かります。生き抜くだけでも困難な時代でしたから。

 しかし、飽食とも呼べる現代……ましてや物価高や食糧の不足が多い中で無理してでも、体を壊してでも「たくさん食べろ!」とはいかがなものか?

「あまり食べるな」といわれるのなら分かりますが、この矛盾を生み出しているのもよく分からない現状です。

 それでも「おれは食べろ、といわれ無理やり食べるようになったからできるようになった」「昔の働き盛りはたくさん食べたから仕事ができた」と反論する方もいるでしょう。

 それは紛れもない事実。ですが、真っ向から反論させてもらうならその働き盛りが活躍した中年者のほとんどの方々が生活習慣病にかかっており、もう少し年齢が高い方々は認知症を発症し、年々増加傾向になっています。

 先人の良い所は真似して、悪い部分を反面教師にする……それが教育なら、現実のデータを直視するべきだと思います。

 食べたい時に食べることができる、食べられる時に腹いっぱい食べる、というのは分かりますが……食べたい時に好きなだけ食べる、や食べる時に腹いっぱい食べるというのは少し違うと思います。

 こう述べると「じゃあもう食べるな!」と怒り返して来る人もいますが『腹いっぱい食べる』ことを悲願としていた方々はこの飽食の時代となった現代でも吐く寸前まで食べているでしょうか?

 少なくとも私がこれまで出会ってきた人生の先輩方は「あの頃は食べるものが無かったから腹いっぱい食べるのが夢だった」と語ってくれても、実際に今食べる量は腹八分目ほどです。

 時代は変わったのです。

 家具家電も変わってそれに対応しているのです。

 私達の認識も古から現代にアップデートしていきましょう。

 

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