備忘録

〖備忘録 第92譚〗嘘をつくこと

 おばんです、シードルです。

「嘘つきは泥棒のはじまり」…………こう教えられた人は少なからずいると思います。

 主に親や先生についた嘘がバレた時……こう諭されて「嘘は良くないんだ…」と思った子供は数知れず。

 かくいう私もこの教えで育ってきました。

 けれどもまぁ、成長していくにつれ……嘘を一番ついているのは諭した側の『大人』であるということに気付いてしまいます。

 保身や詐欺、利益…………そして、感情や自分自身にも嘘をつき続け、やがて疲弊していく。

 確かに仏教の中でも嘘はよくない、とかキリスト教の聖書の中でも嘘をついた者の末路は悲惨なことになっています。

 一方、昔話や伝説の中では人間が人外である幽霊や妖怪、神相手の知恵比べで騙して華麗に危機を乗り越えているように描かれています。

 さらには現代においてもパワハラや犯罪の証拠を掴むために嘘をついたり、相手を傷つけないために嘘をつく……なんてことがあります。

 そこでたびたび挙げられるのが『騙した方と騙された方、どちらが悪いのか?』という議論です。

 倫理的には無論『騙した方が悪い』となりますが、一方で『騙される方が悪い』という意見もある…………だから、知識を身につけなかったり危機感を抱いていない人が悪いんだ、という風潮が強いです。

 これに対しての私の意見としては「なにを言ってるんだ?」の一言に尽きます。

 被害者側の人間が自身を省みて「あぁ、自分にも落ち度があったな。気を付けよう」という意味で騙される方が悪い、と言い聞かせるのは分かりますが……加害者であるやった方がそう言う場合は完全なる言い訳です。

 そういう人というのは逆に自分がやられた場合は『やった方が悪いじゃんか!』と結局、どっちに転んでも主張します。

 人を見る場合、問題が発生した時にその人の本性が一番よく見えます。

 発生した際に他者を責めたり、保身の弁明を真っ先にする人というのは大抵ロクでもなく、責任が無いにも関わらず自身に落ち度があると真っ先に謝罪する人の方が立派な人です。

 少し話を戻しますが…………では、結局のところ嘘をつくのは良いことか悪いことか。

 極論で述べると良いことではありません…………が、時と場面によっては嘘も必要というのが答えでしょうか?

 転職をする際や他者に傷をつけない時、あるいは何かを守る時……これらに関しては正直に言ったところで余計悪化するだけでしょう。

 ただし、あくまでも嘘というのはその場しのぎ……嘘とはしょせん負債のようなもので、溜まれば溜まるほど、長引けば長引くほど、巡り巡って自分と相手に降りかかるダメージは大きくなります。

 また、嘘をつき続ける間はその人の精神も知らずの内に摩耗していきます。

 だから、健全とは言えないわけです。

 嘘は借金と同じ……返しきれなくなる前にどこかで清算したほうが、自分自身のためにも良いといえるでしょう。

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