名物

遠野に伝わる家庭の銘酒【遠野市‖どぶろく(河童の舞)】

 皆さんは『どぶろく』というお酒をご存じでしょうか?

 似たようなお酒に『マッコリ』や同じような製法に『甘酒』というものがありますが、『どぶろく』は日本の伝統的なお酒の一種で米と米麹と水を使って発酵させて作る濁り酒です。

 昔は多くの家庭で作られていたこの『どぶろく』は酒税法の制定により、多くの物議を巻き起こし、現代では家庭で作られることができなくなりました。

 しかし、『どぶろく』は日本の伝統文化!

 日本の文化を知りたくば一献味わうべきでしょう。

 今回は私自身も初体験である『どぶろく』の味についてご紹介します。

概要

 1940年明治に制定された酒税法により、酒類の製造は免許制となって自家製のどぶろくは禁止という憂き目に遭いました

 それはどぶろくの製造免許が、年間6キロリットル以上製造しないと取得できないからです。

 農作業後や晩酌で毎日楽しんだとしても、流石にその量を一般家庭が作り続けるのは非常に困難……。

 もちろん、今までやっていたことが禁止となったことで人々の間で不満の声が出始めました。

 そこからしばらくの間、作ることができない状況が長く続いたわけですが、2002年の構造改革特別区域法によりその規制が緩和され、特区内において農家民宿等を営む農業者が、自ら生産した米を原料としてどぶろくを製造する場合に、最低製造数量基準(6キロリットル)が適用されないことになりました。

 つまり許可を得て、自分たちの田んぼで作ったお米を使うなら、年間6キロリットル以下でもどぶろくを作って良いということです。(どぶろく特区)

 こうして、この制度を利用し遠野市は全国に先駆けてどぶろく特区の認定(全国第1号)を受けました。

 これが現在のどぶろく=遠野の始まりとなったわけです。

『遠野ふるさと村』では、毎年『どべっこ祭り』と称して、ふるさと村でつくられたどぶろくを飲み放題で存分に楽しめるイベントが開催され、県内ニュースなどで話題になっています。

レポート

見た目

 それではさっそく見ていきましょう!

河童の舞

 こちらが今回飲むどぶろく『河童の舞 うまくち』です。

 どぶろくは生まれて初体験のため、今回は少なめの180mlサイズを購入。

河童の舞 ラベル 表

 遠野の河童は赤いと言いますが、それを意識してなのかラベルの河童もレッドカラー。

 扇子と稲穂を手に楽しそうに踊っています。

 一目見ただけだと酔っぱらって赤くなっているおじさんが裸踊りをしているみたいですね。

河童の舞 ラベル

 製造所は観光名所にもなっている『たかむろ水光園』

 製造年月日は去年の11月とかなり新しいものです。

 アルコール分は9%と酒が弱い私にとってはやや高め……しかし、これでもまだ低いほうで、もう一つある『河童の舞 すっきり』はアルコール11%

 初心者は『うまくち』から飲んだほうが良いかもしれません。

河童の舞 中身

 気になる中身のほうはというと……やはり想像どおり白い濁り酒です。

 色合いも甘酒とほとんど変わらないですね。

 ただし、中に混じっている粒はやはりお酒に使われているもののためか、粒が少し小さくよく磨かれているように思います。

 素人目ですが、甘酒で使われているものに比べ小粒のような感じがしました。

匂い

 匂いのほうはというと……思っていたよりも酒の香りは強くない印象を受けました。

 甘酒特有のどろっとした濃い甘い香りもせず、ほどよく抑えられています。

 フルーティーな香り、と謳っていましたが文字通り、ほのかな甘い香りでとっつきやすいです。

 昔は自家製のどぶろくと聞くと甘ったるくて、むせ返るように酒臭いイメージがありましたが……商品化されているためか、親しみやすいように作られていますね。

 それでは気になる味のほうは……

試飲

 一口含み、口の中でどぶろくをぐるりと泳がせてみると舌先にピリッとした刺激がありますが、日本酒特有の痺れるような尾を引く感じというのはなく、すぐに消えていきます。

 その後にのどの奥へと流し込んだ瞬間……「これはマズイ!」と私は思いました。なぜなら……

 あまりにも飲みやすいのです!

 しかも、ほどよい甘さなので進む進む!

 私の場合、二桁に近いアルコール度数の高いお酒を飲むと舌に痺れたような感覚が残り、胃の中もすぐにカッと熱くなるのですが……このどぶろくは胃の中に入っても熱くならず、すんなりと居座っているのです!

 これは以前飲んだことのある『エーデルワイン』と同じ……

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 調子に乗って飲み過ぎて、あとから一気に酔いが回り、動けなくなるタイプです。

 最近のお酒はこのような感じなのか……それとも、このどぶろくがあまりにも美味しすぎるのか……。

 いずれにしてもどぶろく……恐ろしいお酒です。

用途&感想

 こちらのどぶろくは食前酒としてオススメされていますので、食事前の景気づけなどに一杯引っかけるのに良さそうでしょう。

 また、どぶろくは温めるよりも冷やしたほうがさらに美味しくなるとのことで、飲む前には冷蔵庫で保存した方が良さそうです。

 そのまま飲んでも美味しいですが、炭酸水と割ることアルコールを抑えつつ、スパークリング風に楽しむこともできます。

 原料は甘酒と同じなため、美肌効果や健康増進にも一役買うので、お酒が好きだけど健康も意識したい方にはぴったりに一品です。

商品アフィリ

 遠野のどぶろくは製造している箇所は少なく、種類も意外と少なめですが、こちらの『河童の舞』は道の駅や酒店などで購入することができます。

 ただし、県内の遠野地域以外のスーパーなどではあまり見かけないので流通場所は限定されているのかもしれません。

 通販サイトでは楽天市場などで販売されています。

おわりに

 かつての国の政策により消えかかっていた古のお酒。

 一説には『どぶろく』である濁り酒は大陸から水稲技術が伝来した縄文時代後期か弥生時代前期頃にはあったとされ、平安時代では庶民から貴族……戦国時代では武将たちに好まれたとされています。

 多くの先人、先祖たちが愛した古き良き日本の原酒をお家でゆっくり堪能してみてはいかがでしょうか?

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