貴船神社……その名を聞くと皆さんはなにを連想するでしょうか?
もしかするとほとんどの方が京都にある『貴船神社』を連想するかもしれません。
縁結び、水神、龍神様……オカルト好きの方の場合は丑三つ時に行われる『丑の刻参り』でしょうか?
様々なイメージが膨らむ貴船神社ですが、同じ名前を冠する神社が岩手にもあることをご存じでしょうか?
今回はそんな岩手の貴船神社についてご紹介しようと思います。
古くから地域を見守る社
概要
その神社は花巻市石鳥谷の南寺林という閑静な田園地帯の中にあります。
名はそのままの『貴船(きぶね)神社』……神社に詳しい方なら思わず「ムムッ⁉」と唸ってしまうこの神社。
境内に由緒書きは見当たりませんでしたのでインターネットから調べた情報を以下に記します。
弘安3年(1280)寺林城主伊予守河野通重の子通次、京都勤番の折、一遍上人に帰依し剃髪して宿阿遵道と称し、郷に帰りて時宗光林寺の開山となる。寺の四周に七社の神を祀りて霊場の守護神となす。
引用元:岩手県神道青年会公式サイト
貴船神社は、即ちその一社なり。当時の社は、この地より東北四丁の所にあったが、寛政2年(1790)別当南寺林村高橋市之丞なる者深くこれを崇信し、産土神となさんことを請い、自ら費を投じて現在地に社殿を営む。
明治4年村社となる。大正7年神饌幣帛料の供進指定になる。
どうやら元は『光林寺』の周りを守護するために祀った一社とのことで、すなわち仏教に関連する神社のようです。
しかし、始めに建立されたのが1280年とのことなので約800年ほど前からある神社とのことで意外と歴史があります。
また、同地区では『貴船神楽』が貴船神社の氏子の方々の家を巡る行事があり、伝統が色濃く残っています。
ちなみに『貴船神楽』は市の無形文化財にも指定されており、種類は山伏神楽にあたることから恐らく『早池峰神楽』の流れを汲んでいるのかもしれません。
御祭神・御利益
そんな貴船神社に祀られている神様は以下の通りとなります。
御祭神 | 御利益 |
伊邪那岐命〔いさなぎのみこと〕 | 子孫繫栄の神 対象:子宝、夫婦円満、長寿繁栄、厄除け、運気上昇 |
伊邪那美命〔いざなみのみこと〕 | 子孫繁栄の神 対象:子宝、安産、家内安全、縁結び、延命長寿、夫婦円満 |
トータルで見ると『子孫繫栄』の御利益が強いですね。
特に地域で祀られる『産土神社』というのは多くの場合、子孫繫栄や農業、漁業、商売といった生活に関わる御利益が大半を占めている気がします。
国生みの神である二柱なら祀られて当然かもしれません。
私はてっきり貴船の名があることから水神または龍神に関するものか『高龗神〔たかおのかみ〕』が祀られているのかと思いましたが、どうやら違うようです。
よく考えたら京都のは同じ貴船でも『きぶね』……こちらは『きふね』……微妙に違います。
こういう部分も含めて神社は面白いですね。
アクセス
『貴船神社』は国道4号線から『花巻温泉』方面に外れた道路沿いにあります。
目立った目印はなかなか見当たりませんが、国道4号線沿いにある道の駅『石鳥谷』の交差点を『花巻温泉』のある西側へ曲がり、すぐに現れる十字路を左に曲がって、そのまま真っ直ぐ進むと右手に見えてきます。
駐車場はないですが、鳥居の横から神社の敷地内に入ることができ、車を停めることができます。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は神社敷地内の端に車を停めさせていただき、参拝です。
車を停めてから徒歩1分も掛からずに神社が見えます。
境内はかなり広い造りとなっていて、開放感があります。
拝殿は結構立派です。
しめ縄も御幣も綺麗に掛けられています。
地域の小さな神社はしめ縄が無かったり、御幣が汚れたり風で飛ばされるのが常ですがこの神社はきちんと管理されています。
きっと地域の方々……氏子の方が管理されているのでしょう。
掲げられている神額も金色に装飾されています。文字からもどこか威厳を感じますね。
お参りする際、一歩前に出た途端……いきなりライトが点灯しました。
防犯対策もバッチリです。
お参りの後はその隣へ……小さな末社と立派な石碑があります。
しめ縄の巻かれている石碑は『天照皇大神』……でしょうか?
右にある小さな社は比較的新しいように見えますが、何を祀っているのかは残念ながら分かりませんでした。
そして、社の横にある謎の石……金精様にも見えなくはないですが、なんだかとても気になります。
石碑は境内と森を分けるかのようにグルっと鎮座されています。
この配置と数……なんだか意味がありそうな気がしなくもないですが……色々と気になる石碑群です。
石碑群の終点には『鎮座七百年』の記念碑がありました。
実はこの隣に森へ入るかのように鳥居があるのですが、鳥居に入らずとも森の中は確認できます。
それにしても、鳥居といい石碑群といい……なんだか色々と気になる点が多い神社でした。
おわりに
探勝後、色々と調べてみましたが末社に祀られている神様や謎の石……石碑群に関しては結局分からずじまいでした。
何か謂れなどがあってもおかしくはない雰囲気でしたが、境内は開放感に溢れ、人もなかなか来なかったので落ちついて過ごすことができました。
皆さんも人混みや人間関係に疲れた際はこのような静かな神社で過ごしてみるのもいかがでしょうか?