岩手は自然豊かな県で県土は北海道に次いで日本で二番目……本州一を誇ります。
そんな岩手ですが、意外にも町の至るところで湧き水が出ており、特に盛岡市と北上市においては水量の豊富さが際立っています。
さらに盛岡市の場合、岩鷲山(がんじゅさん)こと岩手のシンボル、岩手山のお膝元にあるためか、県庁所在地にも関わらず新鮮で綺麗な水が毎日、市街地へ届けられています。
今回はそんな岩手山の水がどれだけ豊かであるか実感できる場所をご紹介しようと思います。
岩手山から流れる伏流水の湧き水群
その場所は盛岡市から八幡平市に向かって行く途中にある生出湧水(おいでわきみず)です。
生出湧水は岩手山の伏流水による湧き水群です。
ちなみに伏流水とは水を染み込みやすい土地を川が流れることにより、地中深くに潜り込む水のことです。
代表的な場所だと北アルプスや富士山などが有名です。
通常、淡水の生水の場合……石や砂利、砂といったフィルターを通して少しずつろ過しなければ、綺麗になりませんが伏流水の場合、既に地中という天然のろ過フィルターを通しているので、かなり綺麗な水となっています。
しかし、いくら綺麗とはいえ上流にある野生動物の糞や畑などの肥料による有害物質等の影響で地表が汚染されているとも限らないので、水質検査がされていない水はどんなに綺麗でも安易に口に入れるのはやめましょう。
また、生水は雑菌処理などがされていないので大量に飲むと人によっては腹痛などの症状があります(昔から俗にいう「水にあたる」というものです)ので、できるならば煮沸による雑菌消毒の後に飲用するのが安全です。
※ただし、水汲み場などは事前に水質検査がされている場合があり「飲水可」となっている場合があります。そのような場所の水は大丈夫です。
さて、話しが逸れてしまいましたが生出湧水はそのような水のため、とても綺麗です。
そのため、古くから周辺にある人々に利用されており、昭和40年代前半からは近隣の渋民・好摩地区の水道の水源として活用されています。
さらに、歴史から見ても旧津軽街道に位置し、縄文時代の生出湧水遺跡も周辺にあることから大昔から利用されていることが分かります。
アクセス
そんな生出湧水は盛岡市下田仲平にあります。
国道282号線を八幡平方面へ北上し、『いずみたいむ』様と『畑重車輛整備(有)』様の間にある交差点を右(八幡平から盛岡方面の場合は左)に曲がるとすぐ左手に車両一台分ほどが通れる小道が現れます。
その小道を道なりに行くと生出湧水に到着することができます。
駐車スペースはありますが、車が3~4台ほどしか停められるスペースがなく、小道も車の待避所がないので、対向車が来た際はどちらかが一旦、出入り口まで戻ることになります。
また、道は舗装されておらず、駐車スペースには砂利が敷いているのみなので、雨の日の後はぬかるみや脱輪などにご注意ください。
駐車スペースや場所がよく分からない場合は、少し歩くことになりますが近くにある『ユートランド姫神』様の駐車場に停めることができる上、生出湧水までの案内板もありますので、そちらをご利用すると安心です。
探勝レポート
それでは生出湧水を探勝していきましょう!
今回は『ユートランド姫神』様の駐車場は利用せず、生出湧水の駐車スペースからのスタートです。
駐車スペースの傍から既に綺麗な湧水の水たまりを見ることができます。
なお、駐車スペースと湧水の間には柵もスロープも車輪止めもありません。
もし、ブレーキをし忘れたり、アクセルを間違えて踏んでしまうようなことがあると深い水の中に落ちてしまうので気をつけてください!
透き通るほどに綺麗な水です。
水草の根本まではっきりと見ることができます。
綺麗過ぎるせいなのか、やたら水が深いように見えます(・・;)
近くには生出湧水についての簡単な説明板がいくつかあります。
ここの水はミネラルが豊富な超硬水みたいです。
他にも貴重な水草の自生地とは……私は水草や水の種類について、あまり詳しくないので何がなんだか分かりません(笑)
二枚目の説明板を見るとここの水は毎分45トンも出ており、北上川へと流れ込むようです。
水温は15℃前後……夏は冷たく、冬は外気温の方が水温より下回るため、辺りに蒸気が立ち込め、幻想的な景色を作り出すそうです。
見てみたいなぁ……色々とリスクはありそうですが……(;・∀・)
近くには水が流れ込む瓶が……ここから採水することができそうです。
しかし、水の勢いと量が凄いです……。
こちらの水路でも水を汲むことができそうですね。
段差がある分、こちらからの方が汲みやすそうです。
深さはありませんが、水の量と流れが激しいので近づく際は注意してください。
通常、水路ともなれば水がある程度淀み、ゴミなどの溜まり場があるのですが……ここの水路はとても綺麗です。
恐らく、水質もさることながら豊富な水量と速い流れにより、そのような溜まり場ができないのでしょう。
逆にいえば、ここに帽子や靴などを落としてしまったらあっという間に流れに乗って、回収することができないので諦めるしかなさそうです。
小さいお子さんを連れてくる際は目を離さないようにした方が良さそうです。
とはいえ、この場所は世界遺産、平泉の金色堂にゆかりある古代ハスも植えられているそうなので一見の価値ありです。
それでは少し流れを追ってみましょう。
森の方へ進むと桟橋が架かっている場所があります。
そこからしばらく、流れを追うことができます。
コンクリートも溝もない、自然本来の川です。
こうやって、草の間を流れ……長い年月をかけて削られていき、川になるのですね。
ここまで来ると水の流れもある程度弱まり、深さも水量もないので安全に触れることができます。
さらに進むと実際に湧いているところを見ることができます。
写真では分かりづらいですが、砂を巻き上げて噴き上がる様を見てもかなりの量が出ているのが分かります。
実際、湧水口はいずれも水草がこのように生えていない箇所ばかりでした。
おわりに
生出湧水は多種多様な水草が生え、夏になるとハスだけでなくアヤメや様々な種類のトンボを見ることができます。
避暑をするにはまさにピッタリの場所といえるでしょう。
水に関しては汲めそうな場所はいくつかありますが、飲水が可能か否かの看板が見当たらず水質や成分表のようなものも見つけることができませんでした。
念のため、直接飲むことはしない方がいいかもしれません。
もし、どうしても飲みたい場合はちゃんと煮沸消毒やろ過などを行ってから飲むことをオススメします。
高原や山、海といった避暑地は代表的な場所ですが、たまには湧水のある所に行っても十分涼しく過ごすことができますよ!