皆さんは普段何気なく通っている道で気になっている場所はないでしょうか?
特別綺麗な場所や不思議な場所、なんだか違和感を感じるような場所……人間には第六感があるとされており、それはもしかしたら自身の『本能』が何かを感じている証拠かもしれません。
そして、それは人が多く訪れる場所……とりわけ観光地ほど強く感じる場合があると思います。
今回は世界遺産にも選ばれた平泉……その中にある恐ろしくも不思議な昔話が残る大岩をご紹介します。
草の髪を纏いし大石
概要
その場所は平泉町にある『毛越寺』と有名なパワースポット『達谷窟毘沙門堂』の間にあります。
その名前は『髢石(かつらいし)』……一見すると草花が茂る大きな岩で傍に立つ名称の看板以外、由緒書きも何もない所ですが、調べたところ恐ろしい昔話があったことが分かりました。
昔話
『髢石』に伝わる話は以下のとおりとなります。
昔、この地方を治めていた悪路王(あくろおう)は、美しい娘がいると聞くとさらってきていた。娘の中には逃げ出した者もいたが、直ぐに捕まり、見せしめとして首を切り落とされ、太田川に流され、その首が下流の大きな岩に流れつき髪の毛を絡ませたという。この岩に娘達の沢山の髪が“かつら”の様にまつわりついたことから、この巨石を「かつら石」と呼ぶようになったと言われています。
はじめ、私が聞いた話では悪路王が見せしめとして捕まえた娘の髪を切り、髢石に掛けたという風に聞いていたので、正直にいうと「悪路王というわりには意外と甘いんだな」と思っていました。
確かに女性にとって髪は命、ともいえますが本当に命を奪うまでいかなかったのだな……やはり悪路王も男か、と思っていましたが、首を切り落としてその髪が岩に絡みついたとなれば、一気に解釈が変わります。
岩に髪が水草のように絡みつき、ウキのように生首が川に漂う光景を想像すると……やはり恐ろしいです。
アクセス
そんな『髢石』は概要でも触れたとおり『毛越寺』から『達谷窟毘沙門堂』へ向かう途中にあります。
『毛越寺』から『平泉厳美渓線(県道31号線)』を『達谷窟毘沙門堂』方面(一関方面)に向かうと道中にあります。
『髢石』周辺には駐車場はおろか車を停めるスペースもないため、下りて見学する際は路上駐車となりますので事故などに気を付けてください。
また、周辺には民家もありますので停める際にも注意が必要です。
くれぐれも近隣の方々の迷惑にならないような場所に駐車しましょう。
ちなみに同じ『悪路王』関連の話では『髢石』から少し先にある『姫待瀧』『達谷窟毘沙門堂』にも伝わっていますので、ぜひとも一緒に訪れてみてください。
ちなみに『姫待瀧』にちいてはこちら▼の記事に詳しく記載しています。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は『髢石』の少し先にある路肩に駐車し、スタートです。
髢石自体は道路のすぐ傍にあるので、見つけられないということはないでしょう。
ただ、道路にすごく近いため交通事故にはくれぐれもご注意ください。
髢石のすぐ目の前には件の太田川が流れています。
こうして見ると蛍でも棲んでいそうな緩やかな流れと綺麗な川です。
ただし、途中からこのように深い淵があり……どこか急な恐ろしさを感じます。
魚がいても不思議ではありませんが、残念ながら魚影すらも見つけられませんでした。
かつて、この川に切り落とされた娘の首が流されたと思うとゾッとしてしまいます。
心理的な恐ろしさもそうですが、夏場の川遊びの事故ではこういう浅瀬からの急な淵で溺れてしまうことが多いので、注意したいところです。
それでは髢石に近づいてみましょう。
娘達のたくさんの髪がかつらのように絡みついていた大岩は今では草花が咲く綺麗な緑の髪を生やしています。
しかし、先ほどの川が昔はこの岩まであったかと思うと地形や川の変化とは激しいものだと改めて感じます。
さらに髢石に近づくと岩の隙間にびっしりと石が敷き詰められていました。
もし、これをオカルトとして解釈するなら三途の川などでよくある、死者への手向け……積み石なのでは、と解釈してしまいそうですが、現実的な面で考えれば岩の劣化や崩落を防ぐために石を敷き詰めたか、あるいは誰かの悪戯と考えるべきでしょう。
逆に悪戯として考えるとすごく手が込んでいます。
私がやるとしたらここまで器用かつ綺麗に石を敷き詰められません(笑)
岩の近くの茂みには石碑がいくつか隠れていました。
残念ながら草が生い茂り過ぎて近くまでいけませんでしたが、道端でよく見かける庚申関係のものかもしれません。
髢石の上にも同じような大岩がもう一つありました。
こちらの岩については何も分かりませんでしたが、遠目から見ても立派な岩です。
おわりに
曰くだけ聞くとよくある心霊スポットの逸話と変わりませんが、この周囲で幽霊が出たという話は私は聞いたことがありません。
ですが、何かを感じてしまうスポットというのは全国各地……自身の身の回りでもよくあるでしょう。
皆さんも自身の本能……第六感に従ってその場所のことを調べてみると思わぬ歴史を知ることができるかもしれません。
この『髢石』にまつわる悪路王の話は色々とありますので、気になった方はぜひとも調べてみて下さい。