前回のあらすじ……

奄美群島を巡る長い船旅の末、無事に沖縄の地を踏むことができ、一安心の私シードル。
いよいよ本格的な沖縄旅が始まります。
果たして、始めに行く場所は一体どこなのか?
初のモノレールに乗り、レンタカーショップへ
4/16日、朝の7時……お世話になったカプセルホテル『GREEN RICH HOTEL 那覇』さんを後にし、最寄りの駅である『美栄橋駅』へと向かいます。

沖縄は本土(沖縄と離島を除く日本列島の呼称。ちなみに沖縄のことは『本島』日本列島の中で北海道、九州、四国、沖縄を除いた呼称を『本州』と呼びます)と違い、JRのような電車はなく、あるのは那覇市内を走るモノレール(ゆいレール)のみ。

ゆいレールの区間は『那覇空港駅』~『てだこ西浦駅』までで、19駅のみとなります。
路線は山の手線のような一周タイプではなく一本道のオーソドックスなタイプです。
このゆいレールを利用した観光としては『国際通り』や『首里城』などですが、沖縄本島北部にある『美ら海水族館』や南部にある『斎場御嶽』等へは行けません。
那覇以外に行く場合は必然的にバスか車となりますが、沖縄のバスは定期的に頻回に出ているというわけではなく、さらには沖縄独自の時間感覚である『うちなータイム』という予定時間より遅れてくることが普通というのが存在しており、遅延はザラです。
のんびりした沖縄らしい習慣ですが、都会で忙しく働き時間厳守やタイムパフォーマンス重視の方には少々キツイかもしれません。
私の場合、初めは自分のペースで思う存分沖縄を満喫したかったので、じゃらんにてレンタカーを予約。
そのレンタカーショップまで行くのにゆいレールを使用します。

ゆいレールは地下鉄ほど速いわけでもなく、次に来るまでの電車の間隔も少しありますが、それでも約10分毎で到着するというのは那覇市内散策においては大きな魅力でしょう。

ゆいレールに乗ると沖縄らしい南国ののんびりしたメロディーが車内に流れます。
聞くだけ穏やかになれそうなメロディー……これを通勤、通学の度に聞くことができるのは羨ましいですねぇ~。
そんなゆいレールに乗って、レンタカーショップのある駅に降り、お店に行く前にコンビニに立ち寄って飲み物を購入。
その時に驚いたのが、皆さんご存じのあの『バヤリース』……なんと沖縄の地域限定で5種類もあるんですね!
それぞれ……
・オレンジ
・ソルティーシークヮーサー
・石垣島パイン
・南国マンゴー
・南国グァバ
といった具合です。
私はファーストコンタクトである『グァバ』を購入。

飲んでみると、酸味と苦味が少し強い……けれども非常にすっきりとした味で、暑い日にぴったりな飲み物でした。
その後、レンタカーショップに来店してひとしきり説明を受けます。
説明の内容としては概ね、バスレーン侵入注意や高速道路における速度などありふれたものばかりですが、その中で沖縄独自ともいえるのが『米軍関係車両とのトラブル』です。
沖縄にはナンバープレートにアルファベット表記のある『Yナンバー』という車があり、これは駐屯している米軍関係者の車です。
といっても、車は特殊でも道路に出れば日本の道交法を守って走行しているわけですが、稀に基地内のような走行をしてしまう車もあります。
万が一、そんな米軍関係者の車と事故を起こしトラブルになると日本の警察だけでなくアメリカの警察も関わってくるため、手続きなどが複雑になり時間が掛かることがあります。
そのため、見かけた際はいつも以上に車間距離を空けて運転してほしい、とのことでした。
国際社会……完全なグローバルになるにはまだまだ時間が掛かりそうです。
念願だった美ら海水族館へ
説明を受け、相棒となる車に乗り込み、最初に目指す場所は沖縄北部『本部』
昨日、船で立ち寄ったあの本部ですね。
なぜ、最初に本部なのか?
それは私の念願である『ジンベエザメ』を見るためです。
世界最大の魚類であるジンベエザメ……ホームセンターでひんやり抱き枕を買うほど私が好きな生き物です。
お陰で偏頭痛でダウンしている時にはいつも助けられています。
ジンベエザメを見るだけなら大阪の『海遊館』でも良いのですが、私がこだわっているのは『世界最大の水槽で泳ぐジンベエザメ』を見ることです。
そのため、人生初ジンベイザメは絶対に美ら海水族館で見ようと決めていました。
そんな想いを胸に高速道路を走り、途中のサービスエリアで水族館の入館チケットを購入。
美ら海水族館のチケットは現地で購入するよりローソンなどの各種コンビニやサービスエリア等、事前購入できる所ではある程度割引され、お得に入館することができます。
沖縄の他の観光施設を巡る際は『美ら海とくとく5パス』を利用するともっとお得に入館することができます(パスは水族館と対象の15施設の内4施設を大人1人5900円で利用することができます。有効期間は一つ目の施設に入場してから約5日間。私は体調がどうなるか分からなかったので、利用しませんでしたが、今思えば使えば良かったと少し後悔しています)
あらゆる準備を終え、あとは現地へ向かうだけ、と車を走らせていましたが……その道中、何やら人だかりができている所に遭遇。
見ると「基地建設反対!」と書かれた看板を持ったり、タスキをかけた人達が……近くには米軍基地と『普天間』という看板が……どうやらテレビでも話題になった普天間基地移設問題に関する反対運動のようです。
今までデモ活動に遭遇したことはありませんでしたが、実際目にしてみると異様な張り詰めた空気を感じました。
私はデモ活動を行わなければならない地域に住んでいないですが、住んでいる方から見れば死活問題のことでしょう。
普天間基地に限らず、日本は竹島や北方領土といった他国との問題を多く抱えています。
やはり、このことからも真の意味でのグローバル化実現はまだ先になるでしょう。
このことに関しては国に頑張ってもらうほかありません。
沿道で訴える方々を眺めながらしみじみとそう思いました。
そんな出来事に遭いながらも車を走らせ、約1時間半……ようやく美ら海水族館のある『海洋博公園』へと到着。

イルカのオブジェから放たれる心地よいミストシャワーを浴び、海を眺めながら入り口へと向かいます。

入り口には美ら海水族館のメインにもなっている大きなジンベエザメのオブジェがありました。カッコいい……!

美しい海を正面に眺めながらエスカレーターで下に降り、いよいよ入館です!

水族館の入り口にはマングローブに棲んでいることで有名な『ヤシガニ』や『ノコギリガザミ』など固有の生き物たちがお出迎え。
ただ、やはり人の数はとても多く……残念ながらゆっくりと見ることは叶わず、流れるように進んで行きます。
美ら海水族館は上の解から降りながら見る水族館で先ほどのモニュメントなどがあった場所が4Fの『大海への誘い』……入館してすぐのところにあるのがサンゴ礁とそこに棲む生き物を紹介する3F『サンゴ礁への旅』……2Fが美ら海水族館名物ジンベエザメが泳ぐ大水槽のある『黒潮への旅』……1Fが深海の生物を紹介する『深海への旅』というフロアになっています。


この他、1Fには売店があり、館外にはウミガメやマナティー、イルカなどの屋外展示があります。
サンゴ礁エリアでは飼育員さんであるダイバーの方もおられ、実際に潜ったらこんな感じというのを目の当たりにしました。


明るいサンゴの海も良いですが、少し暗がりの岩礁もまた良いですね。

そして、沖縄ならではともいえるウミヘビの展示もありました。

日本に水族館は数多くあれど、ここまでウミヘビを詳細に紹介しているところはここではないでしょうか?
少なくとも岩手をはじめとする東北では全く馴染みがないので、とても新鮮な気分になりました。
そうして、いよいよ大水槽のある『黒潮の海』へ………

ようやく巨大な水槽の中を悠々と泳ぐジンベエザメを目にすることができました!


しかもダイバーさんもいるというなかなかお目にかかれないシチュエーション……もう感動です!

この水槽にはジンベエザメの他、巨大なエイやマンタの泳ぐ姿も見られます。

まさに黒潮の海を再現していますね。いやはや、改めて見ても本当に大きい!

あらゆる角度から撮影し、ひとしきりジンベエザメを堪能した後は1Fへ………。
深海の生物はダイオウイカくらいしか知らなかったのですが、色々な生物がいるのですね。



ジンベエザメに負けず劣らずの大きさを誇るメガマウスも見ることができ大満足。


今度は屋外へと移動します。

ウミガメは他の水族館でも見られますが、南国マジックのせいでしょうか? なんだかとても綺麗に生き生きしているように見えますね。

余談ですがウミガメ、マナティー館の裏手にはビーチがあり、ここでは野生のヤシガニが見られるのだとか……残念ながら私が行った時にはカニ一匹の姿もありませんでしたが、これほど綺麗な砂浜ならいても不思議じゃないでしょうね。



そんな砂浜で少し休憩した後は、すぐ近くにあるマナティー館へ。

ここではあまり見ることができないマナティーを見ることができます。

今では数が激減し、ジュゴンとともに人魚のモデルにもなったといわれる動物……ゆったりと泳ぐ姿はかわいいものですね。

一見するととても似ているジュゴンとマナティーですが、厳密には種類や尾の形、生息域など様々な違いがあるようです。勉強になりますね。
近くにある『オキちゃん劇場』(イルカショー)を見るため、マナティー館を後にして向かいます。
改めて美ら海水族館の外観を見てみるととても大きく、とってもお洒落……さすが、日本で有名な水族館なだけあります。

着いた頃にはショーは終盤で少しばかり遅かったようです。


しかし、広大な海と離島を背景にしたショーはさぞかし良い画になったことでしょう。

最初から見ることができず少し残念。
このまま次のショーが行われるまで待っていたいところですが、本日はレンタカーの時間制限もあり、他行きたいところもあったため、これにて散策は終了です。

やはり念願にしていただけあって美ら海水族館は素晴らしかった……ありがとう!
ほんの少し名残惜しいですが、次なる場所に向けて海洋博公園を後にします。

沖縄の歴史を探訪、今帰仁城跡へ
海洋博公園を出て車を約15分ほど走らせ、辿り着いたのは国頭郡今帰仁村……世界文化遺産に認定された『今帰仁城跡』です。

読み方としては『なきじんじょうあと』ですが、現地では『なきじんグスク』と呼ばれています。(グスクとは城)
14世紀(1300~1400年頃)の沖縄本島は北部地域を『北山』中部地域を『中山』南部地域を『南山』がそれぞれ支配していた『三山鼎立の時代』でした。ざっくり述べるなら沖縄版三国志のような感じです。
北山を治めていた王はこの今帰仁城を拠点に沖縄島北部を中心に支配下とし、中国と貿易をしていましたが、1416年頃に中山の尚巴志によって滅ぼされ、北山としての歴史の幕を閉じました。

以後は北部地域の監守の城として機能していましたが、1609年に薩摩軍による琉球侵攻にあって、城は炎上……その後は監守すらいなくなったため精神的拠り所である拝所として多くの人々が今日まで訪れています。
長く蛇行し高く積まれ……まるで万里の長城を思わせるような石垣は本土にある城の石垣とは違って、異国情緒を思わせます。

石造りの階段を上がり、城の中心部へ足を踏み入れます。

城内には住んでいた場所の跡などもありましたが、特徴的なのは木の茂っている御嶽がある、ということ……御嶽は沖縄の人々にとって神聖なもので本土でいうところの神社のような場所です。



中には立ち入り禁止の場所もあり、島外から来た我々のような者は注意しなくてはなりません。
木々や岩が祀られているところを見ると、日本古来にあった石や木々を御神体としていた頃を彷彿とさせます。

神が降りてくる場、ともされていましたから磐座のような機能も持っていたのでしょう。
なんにせよ、丁寧に扱い祈らなければならない場所です。
高台から臨む北部の海……豊かな木々が生い茂る自然……今帰仁城の主もこの美しい光景を眺めていたことでしょう。


しかし、青い空と草原に茂る草に石垣の城、という光景も圧巻の風景ですね。


帰りは整備された道ではなく、旧道を通ります。

こちらも石造りの道ですがさすがに整備されてはおらず、かなり歩きにくかったです。
敵の侵入を防ぐ意味もあったのでしょう……ただ、現代においてはハブの奇襲に注意しなければなりません。
今帰仁城を見た後はその近くにある『歴史文化センター』へ………ここでは今帰仁の歴史について知ることができるのですが、入り口にて思わぬ出会いがありました。
その出会いとはこの入り口前にある漁船。

この漁船は2011年3月11日に発生した東日本大震災で津波に飲まれて行方不明になったものですが、なんとその7年後の2018年の5月27日に今帰仁村の海上で発見されたとのこと。
持ち主は岩手の山田町でカキやホタテの養殖をしている方で、この縁を大切にするためにこの場所で保管しているとのことでした。

遠い岩手からこの沖縄までやってきたのもすごいですが、7年も海上を漂っていたことに驚きです。
あの震災は多くの命を奪いましたが、その反対に新たな絆を生んだきっかけにもなったと思うと……なんとも複雑な気持ちになります。
気を取り直して、建物の中に入るとかつての歴史文化を偲ぶ貴重な品々の数々がそこには展示されていました。
祭祀を司る人が使用していた勾玉と水晶玉の首飾りや……

国宝の宝剣『千代金丸』の複製もありました。

この刀は1416年に中山の連合軍に攻め滅ぼされたとき、北山の王が崇め立ててきた神が守護してくれなかった、と斬りつけた逸話のある刀です。
その後、自害しようとしましたが切れず 、今帰仁城の近くを流れる志慶真(しげま)川に投げ捨てられましたが、後に下流域で伊平屋島の人に拾われ王府に献上されたと伝えられています。
拵えの装飾も見事ですが、刀は日本刀の造りに非常によく似ていていますね。
沖縄の原風景、備瀬のフクギ並木
北部の歴史を堪能した後は再び美ら海水族館に戻るような形で南下……その途中のとある場所に立ち寄りました。
その場所とは『備瀬のフクギ並木』

色々なメディアに取り上げられたことで有名になったこの場所は美ら海水族館からほど近い場所にあります。
本来なら今帰仁城跡に行く前に立ち寄る予定でしたが、場所が分からず後回しにし、改めて調べ直してから来ました。
道路から少し外れた有料駐車場に車を停め、いざ散策。


びっしりと立ち並ぶ木々とところどころにある石垣……そんな木々の隙間から差し込む木漏れ日がなんともいえない雰囲気を作り出しています。
ここは防風林として家を取り囲むように植えられたフクギが連なり、備瀬崎までのおよそ1kmの並木道を作っています。

同じような道が続くため、迷ってしまうこともしばしば……ひょんなことから民家や海岸に出てしまう、まさに天然の迷路です。

民家が近いため、迷惑行為は厳禁で所によっては写真撮影にも注意が必要です。私有地への侵入はもちろん厳禁。
しかし、そんな民家だからこそ中には貴重な史跡が残っている場合も…………こちらは『フール』とよばれるもので、石造りの中に豚を飼って人の排泄を餌とする場所。

沖縄の豚を大切にする文化を象徴としており、県内でも数カ所しか残っていないほど珍しいものです。
さしずめ、岩手でいうところの馬と一緒に暮らす南部曲がり屋にどことなく近しいものを感じます。
滋賀にある湧き水が豊富な針江地区では『はた池』で飼っている鯉に残飯のついた食器を食べてもらい、代わりに洗ってもらう家もありますし……動物と共生していく生活というのはどの国や地域でも理にかなったものといえるでしょう。
人ものんびりしているためか猫ものんびりと過ごしています。これが本来の“のどか”なのでしょうね。

フクギ並木が作り出す涼しい木陰を進んで行くと『備瀬崎の海岸』へ辿り着きます。

本部は伊江島にほど近い地域なので、離島を臨む砂浜を見ることができますよ。

気の済むまで散策し、時間の頃合いを見て撤収……沖縄北部地域を思う存分満喫しました。

夜はスーパーにて地元ならではの総菜を探す
あらゆる所に行き、那覇に戻ってきたのは17時頃……そろそろ今夜の宿を探さなければなりません。
車を返却し、手ごろな宿を探しているとスーパーの近くにある宿を発見し、電話にて予約を取り付けます。
今回の宿は『赤嶺駅』にほど近いところにある『グランドキャビンホテル那覇小禄』さん。
昨日はカプセルホテルでしたが、こちらはカーテンで仕切るキャビンタイプのホテルです。
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そうして、近くのスーパーに行って今夜の夕食を探します。
地元の料理を楽しむなら居酒屋ですが、私はお酒をあまり飲めないうえに費用をなるべく抑えたかったのでスーパーマーケットをよく利用します。
こちらのほうが変わったものもあって楽しいですからね。
購入したのは『クーブイリチー』という細切りこんぶの煮物のようなものと『ウムクジ天ぷら』……ウムクジとはなんぞや? ナメクジの亜種か? と思って食べてみると中身は濃い紫色!


思わず「ウミウシを食べてしまったか⁉」と驚きましたが、知らべてみると沖縄名産の紅芋と片栗粉を混ぜて揚げたものとのこと。

芋の天ぷらというわけですね。ナメクジだとかウミウシだなんて言って、本当にすみません……クーブイリチーの方は見た目も想像していた通りのお味で美味しかったです。
ウムクジ天ぷらは正直いうと………甘い! いえ、美味しいことに変わりはないんですけど、ご飯のおかずというよりは私はおやつのほうが合っているかな、と思いました。
私個人としてはご飯のおかずにするには少しハードルが高いですね……美味しいんですけど。
そんな甘いのとさっぱりした総菜で夕食を済ませ、この日は床に就きました。
さて、翌日はいったいどこへ行くのか……気のみ気のまま、私自身も分かりません(笑)