二戸市というと皆さんは何を連想するでしょうか?
もしかすると、金田一温泉緑風荘の『座敷わらし』を連想するかもしれません。
確かに岩手といえば座敷わらし、をブランド化させた立役者であり全国的に人気ですよね。
でも、二戸市には他にも魅力的な場所があります。
今回はそんな二戸市を隅から隅まで一望できる場所をご紹介します。
日本一の夫婦岩がおりなす二戸の大パノラマ
概要
二戸市の名勝『馬仙峡』……ここは海底火山活動により地面が隆起し、大崩崖と馬淵川の激流によって浸食され形成された渓谷とされており、九戸村にまたがる『折爪岳』とともに県立自然公園に指定されています。
その中でも一際目を見張るものがそびえ立つ巨岩『男神岩』とその隣にあるもう一つの巨岩『女神岩』……この二つの岩は夫婦岩として日本最大を誇り、2006年には対岸の鳥越山と合わせて県北初の国の名勝に指定されました。
今回紹介する場所はその一帯と二戸市を一望することができる『男神岩・女神岩展望台』です。
ちなみに三竦みとして名勝指定された男神岩と女神岩、鳥越山ですが……これらにはある伝説が伝わっています。
伝説
男神岩と女神岩は幼少の頃から将来を誓いあい、仲睦まじく過ごしていましたが、ある時、男神岩は対岸にある鳥越山に浮気してしまいました。
女神岩は烈火として怒り狂い鳥越山を殺そうとしたものの、どうしても果たす事が出来ず、深い悲しみの中、馬淵川の大淵に身投げしてしまいました。
村人達は女神岩を哀れに思い身投げした大淵を明神ヶ淵と呼び、その畔に祠を設けると大淵大明神として篤く奉斎したと伝えられています。
引用元:馬仙峡:伝説・伝承より
岩手山や姫神山の伝承もそうですが、岩手は山や巨岩を擬人化し、悲恋に結び付ける傾向があるみたいです。
アクセス
『男神岩・女神岩展望台』は二戸市の南の玄関口、一戸町との境目にあります。
地図上でもその位置となっていますが、展望台への入り口は二戸市内にある『二戸駅』の近くとなります。
案内板は随所にありますが、道が複雑なため初見で行くと途中で道に迷ってしまいます(私は一度迷って行くのを断念しました)
細い道や地元の方なら他にもルートはあると思いますが、今回は私が通った比較的分かりやすいと思うルートを紹介します。
まずは『国道4号線(二戸バイパス)』を盛岡または青森方面からでも良いので走ります。
すると、二戸駅近く(実際には少し遠いですが…)に市内(右)へ入る信号機付きの交差点があるのでそこを右折します。(近くに『男神岩・女神岩展望台』への案内板もあり、そこも右を指しているので従います。『なにゃーと』の案内板もあるので目印としては分かりやすいと思います)
真っ直ぐ進むと『展望台左折』の看板が見えます。この時、途中で住宅街に入る小道がありますが、そこには入らず…少し先に行った交差点の方を左折します(『なにゃーと』左折の看板がある交差点が目印です)
少し道なりに進むと再び『展望台左折』の看板が見えます。ただ、見えてからすぐではなく少し進んでから左に曲がることになります。(理容院のあるの道を左折します)
そこから先はひたすら真っ直ぐ進みましょう。再び現れる展望台の案内板とトンネルが展望台への入り口です。
案内板は随所にあり、よくよく見ると迷わずに行けそうですが…住宅街ゆえか似たような道があるので注意しましょう。
また、トンネルから展望台へは車が一台通れるか通れないかの細い道です。
側溝や苔むした場所があるので、スリップや脱輪に気を付けてください。
駐車場は展望台近くとその手前にあるトイレに駐車できるスペースがありますが、台数が限られています。
とはいえ、そこまで大勢の人が来ることは少ないので安心して良いでしょう。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は展望台近くに車を停めてスタートです。
こちらが『男神岩・女神岩展望台』……木造で若干螺旋よりの階段となっています。
すぐ上りたいところですが……まずは辺りを散策。
すぐ近くには男神岩、女神岩、鳥越山を含めた馬仙峡の紹介がされていました。
左下の地図を見るとどうやら登山ルートもあるみたいです。
看板の先にも道はありますが、ここから先はどこに繋がっているのか分からず……熊注意の看板も乱立されていたため、今回は行きません。
一応、タイヤの轍があるところを見ると車で抜けられる道があるのかもしれません。
ただ、車が通った跡があるからといって今も使われているとは限りません。
土砂崩れや行き止まりとなって廃道になっている可能性も高いです。
昔、無茶な冒険心があった頃……こういう横が崖となっている道を行き、ある程度進んだところで行き止まりとなって、生死をかけたバック走行をしたことがあります。
教習所のバック教習より緊張しましたね(;^_^A
展望台の下にはベンチがあり、一息くつろげるようになっています。
その隣には『いわて文学の小道』の看板が……細かい字でびっしりと書かれています。
目が疲れてしまうのでこちらは割愛……恐らく『馬淵川』で直木賞を受賞した作家の渡辺喜恵子さんに関することでしょうか?
興味がある方は現地で直接確かめてみてください。
その裏は立派な看板となっています。
もう少し、見える位置にあれば……。
端の方にはなにやら石碑と石塔が……山神様のでしょうか?
石碑にはかろうじて『男神岩』の文字があったので、恐らくは夫婦岩を祀ったものなのかもしれません。
石塔には『昭和』という文字もあったので、昭和に建立されたのか……欠けた茶碗と草むらに覆われた小銭の賽銭がなんだか悲しく感じます。
それらの隣には道がありましたが、何やら封鎖されていました。
またげば行けないこともなさそうですが。
熊防止のためなのか、あるいは何か危険なためか……実はこの先の道はとある場所に通じている道……詳細はもう少し後になってからお話ししましょう。
それではお待ちかね、展望台へ上ってみましょう!
階段は横幅はあまりありませんが、踊り場を作っているためか傾斜はなだらかです。
しかし、結構な高さがあります。
展望台に到着!
そこからの景色は……
いやはや、これまたかなりの絶景です!
国道4号線を眼下に左手前にある男神岩とその先にある鳥越山がよく映えています。
少し左に視線を移すと二戸市と大崩崖も見えています。
こちらの位置からでは女神岩は木が邪魔をしてよく見えないですね……。
展望台にはベンチとお決まりともいえる各場所の名称紹介図があります。
とはいえ、黒すぎてよく分からない状態に……一応、形からどこがどれかは分かりますが…。
ちなみに皆さん、先ほどの封鎖された道を覚えているでしょうか?
実はあの道の先は男神岩へと通じています。
そう、この岩は先端の崖付近まで行くことができ、その先端ぎりぎりには何かを祀るかのように小さな祠があります。
ただし、写真でも分かる通り……ここは安全柵もなにもない場所、しかも高さゆえか常に強風が吹いており、大変危険な場所となっています。
しかも、先端部に行くには両端が崖になっている幅約1メートルほどの松と岩がゴロゴロしている道を行かなければなりません。
もし、転落してしまったら確実に命の保証はないでしょう。
もしかしたら、それを予防するために封鎖したのかもしれませんが…。
一応、道は封鎖されていますが自己責任でこの男神岩の先端に行くことは今でも可能なようです。
その場合は展望台からではなく、岩の下にあるといわれている神社を経由して登山をするという方法になります。
けれども、私個人としては推奨致しません。
この展望台からの眺めで十分ですし、強風と寒さと恐怖に震えながら景色を眺めても楽しくありませんからね。
おわりに
展望台からでは角度と季節の関係で女神岩を見ることは難しいと感じました。
しかし、この夫婦岩を両方堪能することができるスポットはちゃんとありますので、心配しないでください。
奇しくも男神岩と鳥越山を一緒に見てしまう女神岩にとってはなんとも皮肉な結果になってしまいましたが、二戸市と巨岩群を一望できる光景はまさに一見の価値ありです。
特に春や紅葉シーズンはとても美しく見ることができます。
皆さんも行楽シーズンは二戸市に足を運んでみてはいかがでしょうか?