青森の南部から岩手の北部にかけて流れる一級河川『馬淵川』……アイヌ語のマ・ベツ(大きな川)に由来するこの川は県北最大の河川といっても過言ではありません。
そんな馬淵川は二戸市流域に至っては『馬仙峡』と呼ばれ、秋には紅葉で綺麗な景勝地へと変化します。
今回はそんなダイナミックな巨岩と美しい山が織りなす峡谷をご紹介します。
民選知事が名付けた景勝地
概要
『馬仙峡』は岩手県の初代民選知事『国分謙吉』が山梨県にある昇仙峡にならい、馬淵川の『馬』を冠して名付けました。
男神岩や女神岩、大崩崖、明神ヶ淵などの名所があり、一帯はモミジ、カエデ、ブナ、ナラ、ナナカマドなどの落葉樹林のため、夏は新緑、秋は紅葉とその美しい景観を楽しむことができます。
九戸村にある『折爪岳』に隣接しており、合わせて『県立自然公園折爪馬仙峡』と呼ばれています。
そのため『馬仙峡』で住所検索をすると『馬仙峡公園』が表示されますが、厳密には男神岩・女神岩の対岸の大崩崖から安比川合流地点までの間にある両岸地域を『馬仙峡』と称します。
アクセス
地図上における『馬仙峡』は『ローソン二戸石切所店(大崩崖前)』~『希望大橋(安比川合流地点)』を指します。
流域には公園のほかチョコ南部と南部せんべいで有名な『北のチョコレート工場&店舗』があり、車を停めて休憩したりするにもちょうど良いです。
アクセスとしては『国道4号線』から『二戸駅』へと向かい『県道114号線』に入った後『県道274号線』から馬淵川に沿って進むルートが道路も大きく、安心です。
駐車場は決まった場所はありませんが、流域付近には車を停めるスペースがいくつかあり、探すことに困ることはないでしょう。
ちなみにこの『馬仙峡』を一望できる展望台もあります。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回はスポットが定まっていないため、流域ごとに車を停めて撮影しました。
まずトップバッターは大崩崖(おおほうがけ)
こちらは一枚の砂岩が長い間の水の浸食を受けて山塊に露出したもので男神岩、女神岩とともに名所の一つとなっています。
非常に大規模で、二戸市内を南北に走る『いわて銀河鉄道』や『国道4号』からも一望できるため、私は最初にこの地に訪れた時「これが男神岩か……」と盛大に間違えてしまいました。
崖の途中から地層が変わっており、頂上には九戸の戦いに初陣しながら病没した上方軍の蒲生氏綱(氏郷の甥)の墓があるといわれています。
……上がるだけで怖そうです。
『レストパーク馬淵川』にある看板です。
これを見た時「ここが馬仙峡か……」と思いましたが、これも盛大な間違い。
『馬仙峡』らしき光景はもう少し南の方にあります。
『馬仙峡大橋』付近の河川では男神岩と女神岩のツーショットが撮れます。
右にうっすら隠れているのが女神岩……左に聳え立つ大岩が男神岩です。
こちらの景色も綺麗ですが……なんだかもうちょっと女神岩を映したいですね。
もう少し移動してみましょう。
少し進んで『希望大橋』の河川敷まで来ました。
川の流れと秋の日差しが穏やかで良い雰囲気です。
さて、こちらはどうでしょうか?
こちらは男神岩がメインとなるスポットですね!
色づく山々と男神岩、川の流れが素晴らしい……。
けれども、男神岩と女神岩のはっきりしたツーショットがどうしても欲しい……どこかに良い場所はないか…。
辺りを探して数十分……ちょうどいい場所を見つけました!
うむ、日本一の夫婦岩と紅葉……やはり素晴らしい景色です。
一緒に映る『希望大橋』がこれまた良いアクセントになっています。
この女神岩の下には『明神ヶ淵』という男神岩、女神岩、付近にある鳥越山にまつわる悲恋の伝説が伝わっており、それを題材にした小説を書いた直木賞作家『渡辺喜恵子』の歌碑があります。
今回は紹介しませんが、付近に来たらぜひとも訪れてみてください。
橋下に流れる渓流も美しい……馬淵川と安比川は渓流釣りの良いスポットでもあります。
こちらでもぜひ竿を出してみたいものです。
おわりに
岩手の昇仙峡は巨岩と山々が美しい渓谷でした。
今回は色づきがいま一つでしたが、もっと色鮮やかになればさぞ美しいことでしょう。
座敷わらしだけでなく渓流と岩々も素晴らしい渓谷の町、二戸市。
夏と秋の行楽シーズンの折りにはぜひとも訪れてみてください。