町ぶら

黄金の大地を潤す奥州の湖【奥州市‖胆沢ダム】

 岩手県南地域……とりわけ奥州市一帯は県内随一の米どころとして有名です。

 特に『ひとめぼれ』をはじめ『江刺金札米』といったお米は全国的に見ても引けを取らないほどの品質を誇っています。

 そんなお米を育てるのに欠かせないのが、ズバリ『水』『大地』です。

 必要な時に必要な分の水を供給することができる環境と、栄養豊富な土壌がより良いお米を育てるといっても過言ではないでしょう。

 今回はそんな水を調整し、大地を育て潤すダムをご紹介します。

日本最大級のロックフィルダム

概要

 奥羽山脈に連なる巨大な貯水湖『胆沢ダム』……このダムは平成25年に完成し、堤体高127メートル、堤頂長723メートル、堤体積約1,350万立方メートル、総貯水量1億4,300万立法メートルを誇る日本最大級の中央コア型ロックフィルダムです。

 洪水の調整のほか、灌漑用水、水道水、発電等……幅広く使用されており、奥州の大地を潤し育てています。

 夏にはゴムボートで川下りを行う『ラフティング』の会場としても使われ、秋には紅葉の名所として多くの人々を楽しませています。

アクセス

『胆沢ダム』は胆沢川沿いを走る『国道397号線』の奥にあります。

『水沢公園』などがある水沢市街地から『国道397号線』を西側へずっと進んで行くと到着でき、道中では案内板もあるので迷わずに向かうことができるでしょう。

 駐車場としてはダムの管理事務所敷地内に停めることができます

 普段は自由に停めることができますが、紅葉の時期になると人でごった返すので駐車するのに時間がかかる場合があるので注意しましょう

 周辺には『奥州湖眺望台』があり、こちらからではダム全体と山々を眺めることができます。

 なお『水沢公園』及び『奥州湖眺望台』に関してはこちら▼の記事に詳しく記載しています。

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探勝レポート

 それではさっそく探勝といきましょう!

 今回はダムの管理事務所の駐車場に駐車し、スタートです。

ダム管理事務所

 こちらが胆沢ダムの管理事務所になります。

 外観もさることながら館内も綺麗な造りとなっています。

 自動販売機やトイレはもちろんのこと、中ではダムの役割や歴史について学ぶことができる他、事務所内にいる人からダムカードも入手することができます。

天端

 次はいよいよお待ちかね、胆沢ダムの天端(てんば)を渡ってみましょう!

天端

 広い! 長い! そんじゃそこらの農道よりかなりスペースがあります。

 大型車でも余裕ですれ違うことができるのではないでしょうか?

 等間隔に外灯も設置されており、夜間の散歩もできそうです。

 こういう道をカップルが二人きりで歩けばムードもあるでしょう。

天端~堤体

 とはいえ、堤体やダム湖へは大きな柵はなく、チェーンに繋がれたブロックがあるのみ。

 しかも、このブロック……私の膝くらいしかありません!

 どれくらいの高さかさらに具体的に述べると大人がベンチ代わりとして余裕で座れるほどの高さです。

 つまり、簡単に乗り越えられるというわけです。

 こんな所……落ちたらひとたまりもありません。

 くれぐれも乗り越えないように注意しましょう。

洪水吐

 こちらはダムに溜まった水を流す洪水吐……見ただけでかなりの高さがあり、思わず足がすくんでしまいます。

 とはいえ、もし冬場に雪が積もれば急斜面のスキー場として使えなくもないようにみえます。

 ……私は怖くて滑るなんてできませんが(笑)

天端からの眺め

 しかし、高さがある分……眺めは最高の一言に尽きます。

 ずっと奥にある山までうっすらと見ることができます。

山側

 訪れたこの日は紅葉シーズン真っ盛り……山も色づいてとても綺麗です。

 僅かに見える岩肌がまた良い味を出しています。

奥州湖側

 ダム湖の方も奥まで色づいています。

 青い秋空とその空を反射している湖面……自然と人工の岩々が調和した光景は名所にふさわしいでしょう。

ダム湖

 ダム湖単体で見てもとても綺麗です。

 湖面が青空をそのまま映しており、水鏡となっています。

 この日は風があり、やや波立っていますが……風のない日だと山も映し出した景色が見られます。

立橋

 ダムからだと紅葉に染まる山の中にある立橋と大きな岩肌を見ることができます。

 通る時にはあまり気付きませんでしたが、こうして見ると秋らしい風景です。

ダム 奥地

 さて、歩いていると奥の方まで来てしまいました。

 大抵の人は天端が長すぎるためか、ここまでは来ずに中盤で引き返してしまいます。

 では、こちらからは一体どのような景色が見られるのでしょうか?

振り返り

 まずは振り返り……先ほどまでいたダムの管理事務所がかなり遠くに見えます。

 この通路を1往復するだけでかなりの運動になりそうです。

 ウォーキングスポットとしてもアリかもしれません。

眼下の景色

 続いて眼下を見てみましょう。

『ラフティング』に使われる川だけあってところどころ岩場による急流が見えますが、スタート地点とゴール地点が広くなっており、練習場としては良さそうです。

 奥には山々を縫うように立橋があり、カーレースでもしたくなるような光景が広がっています。

 ダムもその周辺もスケールが広い……開放的な気分になれます。

取水塔

 ダム湖の方には何やら怪しい建物が……湖面から蓋のようなものが開いているのを見る限り、取水塔でしょうか?

 トンネルを通っていこうとしたらあいにく『立ち入り禁止』の文字が……残念ですが仕方ありません。

ヘリポート

 奥は広場のようなスペースができており、そこにはヘリポートがありました。

 訓練や災害関係で使われるのでしょうか?

石淵ダムの説明

 ちなみに胆沢ダムの水底にはもう一つ隠されたダムが存在します。

 その名は『石淵ダム』……このダムは日本で最初に施工されたロックフィルダムで、コンクリートで上流部の水を遮る日本では5基しか存在しない『コンクリートフェイシングフィルダム』の一つとされています。

 日本で初めて施行されたということもあってか、村落の移転に伴う住人とのトラブルや工事の難航があったと聞き及びます。

 そんな石淵ダムは胆沢ダムが下流に造られたことで水没をよぎなくされました。

 現在ではその一部が確認できるようですが、立ち入りは制限されています。

胆沢ダム 堤体全体

 最後は胆沢ダムの堤体と山々を一望してみましょう。

 このダムを造るのにたくさんの人達の血と汗と涙が流れたと思うと、今を生きる私達は先人の想いに応え、必死に生きていく責務があるのでしょう。

 先人たちの礎により、今の私達が生きている……そのことを忘れてはいけません。

おわりに

 日本最大級のロックフィルダムである胆沢ダムはダム自体の大きさはもちろんのこと、景色においてもスケールが大きく、とても開放的な気分に浸ることができました。

 このダム建設に関わってくださった人々がいたからこそ、今の米どころの奥州市が生まれ、私達の生活も豊かになっているということを肝に銘じ、感謝しなければなりません。

 岩手の秋にはそんな人々の想いの結晶である胆沢ダムを散歩しながら山々の紅葉を堪能してみてはいかがでしょうか?

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