岩手の県内外から多くの人が訪れる屈指の観光地『龍泉洞』……その地底湖と透明度の高い水については既に誰もが知るところですが、そんな『龍泉洞』の近くにはもう一つ鍾乳洞があるのを皆さんはご存じでしょうか?
そこには太古の原人が住んでいた痕跡や数々の鍾乳石を間近に見ることができます。
今回はそんな鍾乳洞の歴史について学べる洞窟を利用した科学館をご紹介します。
龍泉洞と繋がっていたもう一つの洞窟
概要
『龍泉洞』の近く………久慈岩泉線の道路を隔てて向こう側に洞窟をそのまま利用した科学館があります。
その名も『龍泉新洞科学館』
この科学館は昭和42年(1967年)の観光整備を目的とした県道拡幅工事の際に発見された洞窟をそのまま科学館として使用した、世界で初めての自然洞穴科学館です。
『龍泉洞』から川も挟んで位置しているこの洞窟は、かつてはひと続きだった可能性が非常に高いといわれており、鍾乳洞がよく発達している事や水流の痕跡が残っていて学術的に貴重な事から、一般に公開されています。
アクセス
『龍泉新洞科学館』は道路を隔てた『龍泉洞』のすぐ隣にあります。
詳しい交通ルートとしては『龍泉洞』と同じため、こちら▼の記事をご参照ください。

駐車場は『新洞科学館前駐車場』がありますが、『龍泉洞』の専用駐車場にも停めることができます。
また、入館券については『龍泉洞』の入洞券とセットのため、『龍泉洞観光センター』にてご購入ください。
館内の一部をご紹介
今回はそんな『龍泉新洞科学館』に関して館内の一部をご紹介します。
興味があればぜひとも『龍泉洞』の後に訪れてみてください。
鍾乳洞の歴史を知ることができる展示

洞穴科学館に入ると入り口の壁には岩泉周辺と『龍泉洞』に関する歴史や地層の情報などが展示されています。
ところどころ難解な部分はありますが、そのどれもが貴重な資料。
また、天井付近には発見当時の作業風景の写真も掲載されており、時代を知ることができます。
学術的価値の高い研究洞

洞穴科学館の規模は『龍泉洞』に比べて小規模でアップダウンも少なく、比較的歩きやすいです。
しかし、それは開放されている展示エリアがそこのみであって、実際には立ち入り禁止エリアが設けられています。
なぜ、設けられているのか………それは自然の状態で後世に残すために保護しているからなんです。
調査のほうもまだ発展途上………今後の新たな発見に期待したいところです。
もしかしたら、あなたが何かを発見するのかもしれませんよ?
かつて暮らしていた龍泉新洞原人

ここには『龍泉新洞原人』の生活模様が展示されています。
この洞穴からは大昔の動物の骨や骨で作ったクシ………縄文時代の土器や石器がたくさん見つかっており、これらはその昔、原始人が風雨や寒さから身を守る天然の住居と水の便の良いことから暮らして証拠でもあります。
洞窟は入ると寒さを感じますが、その温度は年中を通して一定に保たれており、寒さが特段厳しい大昔では、絶好の住居となっていたわけです。
我々、今を生きる人間もいずれ洞窟で暮らす時がくるのかもしれません。
石筍や石柱の数々

洞内には石筍や石柱の数々が今なお成長中のまま展示されています。
下からタケノコのように伸びるのは石筍。
上からつららの様に伸びるつらら石が長い年月をかけて繋がったものが石柱となります。
いずれも鍾乳石が水に溶けだし、炭酸カルシムが含まれた水滴が固まったことでできるもので、いずれも長い年月がかかります。
そんな自然の神秘を近くで見て学ぶことができるのはそうそう無いでしょう。
おわりに
岩手は岩石に縁のある県です。
岩手山の溶岩、三陸ジオパーク、古の記憶が封じられた地層、そして鍾乳石の数々………鍾乳洞はそんな岩石類と水のコラボレーションで生まれる自然の神秘です。
塵も積もれば山となる………長き年月を掛けられて作られた産物の歴史と仕組みを現物とともに学んでみてはいかがでしょうか?