おばんです、シードルです。

 令和8年の7/7……世間は七夕となるこの日、私は天の川ではなく盛岡と宮古の間にある川井村の閉伊川流域へ……。

 5月のリベンジ以来の来訪です。

ヤマメ3
〖備忘録 第126譚〗閉伊川水系リベンジ!  おばんです、シードルです。  5/13(木)……この日は久しぶりに盛岡と宮古を繋ぐ街道沿いにある『閉伊川』へ渓流釣りに行きまし...

 前回は本流沿いを巡りましたが、今回は冬季閉鎖となっていた道路を通り、遠野方面……『タイマグラ』へと向かいました。

 このタイマグラは霊峰『早池峰山』の東側に位置する人里離れた集落。

 アイヌ語で「森の奥へと続く道」という意味で、言葉通り緑の深い山奥に位置しています。

 キャンプ場はありますが、数軒の民家しかなく商店というものは皆無(物販は移動販売が来るそう……)。

 なんせ『日本で最後に電気が通った場所』ですから……岩手の中でも秘境中の秘境というわけです。

 そんなタイマグラは自然が豊かで渓流釣りとしても魚影の濃い場所ではありますが……その分、野生動物との遭遇率も高いわけで……。

 私……ついに遭遇してしまいました。

野生のクマ!

 車に乗っていて「この辺で下りて釣ろうかな?」という時に少し離れた先に黒い何かがいるのを発見。

 最初は「タヌキか?」とも思ったのですが、それにしては少し大きい……大型犬のゴールデンレトリバーを少し大きくしたような大きさ……そして、体が細い。

「鹿か? 猿か?」なんて考えている内にもぞもぞ動いていたソイツは私の存在に気付き、ジッと見てきます。

 こちらも車の中からしばし観察……見つめ合うこと約1分……そこでようやく「クマか⁉」と気付き、気付かれたと悟った相手はノロノロと断崖絶壁の川へと下りていきました。

 判断が遅い!

と、某鬼狩りアニメの主人公の師匠ならぶん殴っていただろう。それくらい認識するのに時間が掛かりました。

 だって、野生のクマなんて初めて見たし、民家の近くだったから飼っている犬かと思ったんですよ……。

 もちろん、スマホで撮る暇なんてなく、写真はありません。

 熊スプレーや鈴、ラジオは常備していますが、もしこれが車外なら使う前にやられていたでしょう。……慣れてないって怖いですね。

 そんなわけで、クマに遭遇し……なおかつその相手が川に向かって行ったので、そこで釣りをする気がすっかり無くなってしまいました。

 生かされた手前、その場で釣りを強行するというのは見逃してくれたクマに対しても無礼ですから……警告を受けた以上、離れるのが礼儀。

 タイマグラを後にし、国道340号線へ出ました。

 しかし、生の野生のクマを初めて見ましたが……テレビで中継されていたクマ達に比べてかなり細かったですね。例えるなら、テナガザルをちょっぴり太くし、毛を伸ばした感じ……。

 怖さというよりも「ちゃんと食べているのか?」という哀しさを抱きましたね。

 昨今のクマ問題に対して、駆除云々というつもりは毛頭ないですが、街に現れる個体は色々と食べているんだな、とは思いました。

 そして、断崖下り……。

 私はいつもクマ対策で見通しが良く、崖を背後に釣りをしていたので……これは良い勉強になりました。

 でなければ、一ノ谷の合戦で有名な源義経の『逆落とし』の如く……上から襲われて平家のようにやられていたでしょうから。

 次からは崖を背にしても気を付けたいと思います。

 そんな複雑な精神状態の中、運転しているとなんだか産直みたいな建物が……。

里の駅 おぐに

 こちらは『里の駅おぐに』

 閉校した旧小国小学校を利用した総合交流施設で住民方々の力で再生を果たしたとのこと。

 それにより宮古~遠野間の国道340号線では唯一の24時間使用可能のトイレや産直・売店・フードコートが完備されている貴重なオアシスが出来ました。

 地域の方々、本当にありがとうございます! この国道……宮古と遠野を結んでいるので、花巻や釜石へのアクセスも可能だったんですが、こういう休憩所(特にトイレ)が無かったから、一部の人しか使わなかったんですよね。

 これで、ルートがまた一つ開拓された……。

 ということで、乱れた心を落ち着かせるべく名物の手打ちそばを注文し、一休みすることに……。

おぐに内部

 この机や椅子……懐かしいですね。童心に帰った気分です。

 ただ、あの頃に戻りたいかといえば私はそうではなく。今の方が良いですね。

 好きなことができるし、何より自由だし……「過去に戻れたら……」とか「あの時もっと勉強していれば……」という嘆きの後悔をよく聞きますが、それは現在の記憶と経験を得ているからそう思うわけで、未来が分からない状態で過去に何百回ループして戻ったとしても結局、未来を大きく変える行動を起こすわけでも無ければ、吐いてまで勉強するわけでも無いと思うんですよね。

 少なくとも私自身は興味がコロコロ変わるから勉強をしようがしまいが、今と変わらんだろうなぁ……。

 そんなことを思うなら未来で再び後悔しないように現在でやりたいことをひたすらやるのが良いと思っちゃうんです。

 と、少し真面目なことを考えていると……待ちに待ったお蕎麦がやってきました。

手打ちそば

 手打ちそばは1日20食限定とのことで頼めたのはかなりラッキーでした。

 小国地区で栽培された蕎麦は太めかつ短めの田舎蕎麦。ほどよい固さとのどごし……薬味の刻みわさびは辛すぎず丁度いい塩梅でとても美味しかったです!

 昼食を摂り、気を取り直したところで時間はあるので今度は遠野方面を流れる猿ヶ石川水系へ……。

 しかし、ここでも釣りをしようとした矢先に鹿の群れと遭遇。

 今日は七夕……夜は織姫と彦星が出会う日。けれど、私は昼に野生動物と出会う日。

 なんじゃこりゃ。

 クマよりは幾分マシですが、それでもなんだか落ち着かず……結局、猿ヶ石川での釣りも諦め、帰り際に小友地区にある巌龍様へ挨拶をしに……。

巖龍神社 石の鳥居
大岩に刻まれし龍の姿【遠野市‖巌龍神社】  皆さん、新年あけましておめでとうございます!  今年もどうかよろしくお願い致します。  さて、いきなりですが2024年の...

「まぁ、こういう日もあるか……」と口では諦めつつ、やはり心は諦めきれないため、三度目の正直として我がスイートホームの稗貫川水系のある花巻大迫へ。

 時刻は夕方であまり時間はありませんでしたが……なんとか二匹のヤマメを釣ることが出来ました。

ヤマメ

 巌龍様のお情けであろうか……ともかくありがとうございます!

 こうして全ての釣行を終え、帰宅し魚を締めて塩焼きに……。

ヤマメ2

 やはり、自分で釣ったものは格別に美味しいですな。

 しかし、魚を釣り、調理する度に思うのは随分と業深い趣味を持ったなぁ……ということ。

 魚からしてみたら痛い思いをして釣りあげられ、苦しみの中、殺され、食われるのである。

 怒り、悲しみ、恨み……相当なものだろう。

 釣りをする限り、死後は極楽や天国へは行けないだろう……地獄行き一択。

 それでも止められないとなると釣りという趣味は強い中毒性があるのだなぁ。

 命を頂くということは食したものの寿命を頂き、代わりに生きるという責務を負うこと……食べるということは食べられるものの怒りや恨み、悲しみまで呑み込むということ……成長するということはそれら全てを丸ごと糧にして、未来へ進むということ。

 色々な意味で私達は様々なものに生かされている……ヤマメを食しながら、そんな思いにふけ、七夕の夜を過ごしたのでありました。