天気の悪い日が続く梅雨時……皆さんはどのようにお過ごしでしょうか?
家の中でゲームや読書、撮り貯めていたドラマをまとめて見たり……博物館などの屋内施設に行くという方が大半なのではないでしょうか?
しかし、屋内で休日を過ごそうとすると湿気により蒸し暑さでほとほと参ってしまいませんか?
暑い……けれど、外は天気が悪いし大して涼しくもない。だから、家でカタツムリになっておこう……。
いや、ちょっと待ってください!
岩手には雨が降っていても外に出て、なおかつ涼しい中で楽しむことができる場所がありますよ!
今回は蒸し暑い時にこそ涼を楽しめる、とある歌人が命名した滝のある場所をご紹介します。
国内最大級の洞窟内滝
概要
住田町JR釜石線『上有住駅』のそばに石灰岩でできた大きな鍾乳洞『滝観洞(ろうかんどう)』があります。
滝観洞は1800年代後半に発見され、1921年頃に洞窟探検に入った地元の青年たちによって洞窟の奥に滝があることが判明し、その後整備が進められ、1955年に観光洞(大洞岩窟滝)として開業されました。
一般公開されているのは入口から『天の岩戸の滝』という国内最大級の洞窟内滝までですが、実はこの先にも洞窟は続いており、2つの滝と未だ底が見えない深い地底湖が存在しているといわれています。
『天の岩戸の滝』という名は、洞窟の奥に隠れている滝が日本神話の天照大御神のようだと感銘を受けた大正~昭和の女流歌人『柳原白蓮』が1958年に命名しました。
現在の総延長は5000メートル(公開されているのは880メートルまで)を超えるともいわれ、今も調査が続けられている神秘の洞窟です。
また、洞窟内は1977年公開のホラー映画『八つ墓村』のロケ地にも起用されており、現在は撮影で使われた梯子が名残として残っています。
入場料は3つのコースでそれぞれ料金が異なる仕様になっています。
コース | 料金 |
通常コース | 大人:1100円 小・中学生:500円 |
冒険コース(中級) | 大人:3000円 小・中学生:2000円 (※要事前予約) |
探検コース(上級) | 1名:12000円 中学生以上限定 (※要事前予約) |
それぞれに難易度があり、初見で楽しむなら通常コースがオススメです。
アクセス
滝観洞はJR釜石線『上有住駅』および『滝観洞IC』のすぐ近くにあります。
交通手段としては車か電車のいずれかとなります。
車の場合は……
盛岡・花巻方面の場合『釜石自動車』を走り『滝観洞IC』を下りるとすぐに滝観洞となります。
仙台方面の場合『三陸自動車道』を走り『陸前高田IC』を下りて滝観洞に行くか、釜石市から『釜石自動車』に入って『滝観洞IC』を目指す2通りの方法がありますが、前者が推奨されています。
電車の場合は……
『JR東北本線 花巻駅』から『JR釜石線』の各駅停車に乗車し『上有住駅』で下車します。
車、電車ともに下りて5分圏内に着くことができるのでとてもアクセスがしやすいのが特徴です。
もちろん、専用の駐車場完備です。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は滝観洞の入り口からのスタートです。

手前にある朱色の橋は『風恋橋』……「想いを胸に風恋橋を渡り天空から輝き舞う、滝の雫を見れたら願い事が叶う」という伝説が残され、密かに縁結びのパワースポットとなっています。
名前は一般公募により地元の女子校生が考えたそうです。
ちなみに橋の下に流れている川には大きなイワナがうじゃうじゃといました。
地元の方いわく「警戒心が強くて釣れない」のだそう。
見える魚は釣れない……ですね。腕に自信のある方はこちらにも挑戦してみてはいかがでしょうか?
ちなみにこの日は梅雨時期とはかけ離れた秋……しかも冬に差し掛かる時期だったので、入る前から少し寒いです。

洞穴に入ると下へと続く階段が出現しました。
いよいよ地底世界へ探検です。

洞穴内はところどころに明かりがあり、岩石がよく見える状態になっています。
小川も流れていますが、雨が降った後や台風後はかなり増水して服が必ず濡れるのだそうです。
梅雨時などは長靴、レインコートは必需品ですね。
私が行った時は水量はそれほどない時期で、底が少し厚い靴を履いていたので濡れずに済みましたが、スニーカーなどを履いていれば確実に濡れていました……。

こちらは映画『八つ墓村』の撮影跡地です。
映画で使われた梯子は残念ながら画面外となってしまいましたが、ちゃんとあります。
しかし、このような狭い所まで潜ってわざわざ撮影するとは……当時に映画製作スタッフの熱量は凄まじいですね。
『八つ墓村』のどのシーンに使われているのか……気になる方はぜひ見てください。

洞穴内は水気が多いためか苔類も自生しています。
鍾乳洞でろ過されているためか流れている水もとても綺麗です。
このような洞穴の水というのは清流や名水とはまた違った透明さがあり、私は好きです。
ただし、洞内の水は飲用には適さないので飲まないように注意しましょう。

こちらは『洞穴サンゴ』……壁のポコポコしている部分がそう呼ばれる鍾乳石です。
空気の流れる方向に成長しやすい、とのことで実際にサンゴの化石というわけではないようです。

こちらは『乳房(ちぶさ)の岩』……珍しい形の鍾乳石で一緒に写真を撮ると御利益があるのだとか、恋愛の御利益にも縁があり……滝観洞は女性にとって最高のパワースポットのようですね。

洞穴内には水たまりによってできた空間がいくつもあります。
まるで冒険ゲームによく出てくるセーブポイントみたいです。







冒険ゲームといえばモンスターとの遭遇は外せませんよね。
洞穴内は様々な古生代の生物が至るところに出現します。
三葉虫の場所にて洞窟内でフリーwi-fiが使えることにびっくりしました。


洞穴内にはレアキャラもいます。
左は住田町のPRキャラクター『すみっこ』右はおなじみの『アマビエ』ですね。
すみっこは最初見た時はファイナルファンタジーシリーズに登場する『サボテンダー』かと思いましたが、どうやら炭のおばけみたいです。
おとなしく恥ずかしがり屋…だけど、チェンソーを持つと内に秘めたる熱い想いが燃え上がり、燃え尽きると白い灰になる……というなんとも『あしたのジョーの矢吹 丈』と『13日の金曜日のジェイソン・ボーヒーズ』……双方の気質を併せ持つ、なかなかに濃いキャラです。
この中じゃ、一番要注意かもしれません。
それにしても『すみっこ』と聞いて真っ先に『すみっこぐらし』が頭をよぎったのは私だけでしょうか?

洞穴内部は岩が行く手を塞いでいたり、天井の低い場所があったりとかなりアドベンチャー要素満点となっています。
私も何度頭をぶつけたことか……余談ですが、一般の方は平均で23回ほど頭をぶつけるそうです。
ヘルメットは無料で貸し出しているとのことだったので、私のように頭を打ちたくない方は着用必須です!

滝観洞も後半になるにつれて水場も多く見られます。
この洞内は一年を通して平均10℃ほどの温度に保たれているとのことで、冬場は比較的温かく感じますが、夏場はひんやりとした空気も強くなり、肌寒い感覚も増してきます。
服装としては長袖が良いかもしれません。
案内では薄手の羽織ものの着用が推奨されています。

こちらは『瀬織津姫〔せおりつひめ〕の滝』こと『女滝(めたき)』……この滝には穢れを祓い清める滝の女神、瀬織津姫が宿る滝とされており、奥にある『天の岩戸の滝』と夫婦滝といわれています。
ここの水でお守りにしたい石を洗い清め、奥にある『天の岩戸の滝』で祈ると願いが叶うともいわれているそうです。

こちらはすぐ近くにある『聖観音』……洞内での安全を祈願して1970年に建立され、人々の現世の幸福を祈り、厄除け、開運などの御利益があるとされています。
無事に洞窟から出らますように……。
お祈りをして少し先に進むと……

滝観洞の最終地点である『天の岩戸の滝』に到着しました!
ライトによる演出にもよりますが、鮮やかなブルーが滝を照らし幻想的な光景を作り出しています。

滝のある空間は周囲が約50メートルのドーム状となっており、高さは約60メートル。
大理石の裂け目から流れ出る滝の落差は約29メートルと大迫力です!
水のしぶきも相まってマイナスイオンたっぷりの空間は贅沢ですね。

神が宿る滝……白蓮はこの滝を見て何を感じたのでしょうか?
それでは最後に白蓮が詠んだ歌で締めくくりたいと思います。
「神代(かみよ)よりかくしおきけん 滝つ瀬の世にあらわるゝ ときこそ来つれ」
おわりに
滝観洞の近くには『白蓮洞』という別の洞窟もありましたが、東日本大震災以降は閉鎖されています。
しかし、2024年4月27日からは近くに『おらいの滝観洞』という観光センターがオープンとなっています。
観光や物産の他、名物である『滝流し蕎麦』も楽しむことができますので、日差しが強い時……梅雨時期で暑い時にはぜひとも涼みに行って見てはいかがでしょうか?