史跡

田園の中に佇む水車小屋【遠野市‖山口の水車小屋】

 皆さんは水車小屋というのを目にしたことはあるでしょうか?

 日本昔話のアニメや絵本などで見た、という人もいれば実際に見たことがある……という人もいるかもしれません。

 昔は穀物などを粉にする時や織物などに使われていましたが、現代ともなればそのほとんどが機械頼りという状況なので動いているところは見たことがない、という人がほとんどだと思います。

 今回はそんな水車小屋が今でも動いており、昔の生活の一部を間近で見ることができるスポットをご紹介します。

現代に甦った水車小屋

概要

 その水車小屋は遠野市土淵の山口集落にあります。

 近くには遠野物語に馴染みのある『デンデラ野』や古の処刑場であり佐々木喜善氏のお墓のある『ダンノハナ』と見どころもあります。

 ちなみに『ダンノハナ』についてはこちらの記事にも紹介しております。

ダンノハナ
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 この周辺にはかつて水車小屋は複数あったそうですが、近年の機械化により減少……現在でも使われ現存しているのはただ一棟となりました。

 建築年代は不明とのことでいつ頃建てられたのかは謎ですが、遠野の農村を象徴とする観光地となっており管理は行き届いています。

 また、この水車小屋は『遠野遺産第9号』にも指定されております。

アクセス

 『山口の水車小屋』は遠野市街地から少し外れた土淵町の山口集落にあります。

 山口集落への入り口は遠野市の中心にある『国道283号線』を釜石方面へと向かい、道中にある『JAいわて花巻 遠野・上郷・宮守支店』のある十字交差点を左に曲がります

 ※注意事項

 左に曲がった際『国道340号線』に切り替わりますが、真っ直ぐ進んでも『国道340号線』となります。そのため、山口集落へ行く際はJAのある交差点を左に曲がってください。(真っ直ぐ進むと住田町へ行ってしまいます)

 曲がった後は大きな道路を道なりに進んで行きましょう

 しばらくすると『【前方】宮古・小国』『【右】貞任・山口』と書かれた青い案内板が現れます。

 さらに、その案内板の少し先にある川沿い近くの分岐点には木製の看板で『国選定重要文化的景観 遠野 土淵山口集落』とありますので看板の矢印に従って右に曲がります

 ここから少し道路の幅が狭くなりますが、そのまま真っ直ぐ進みましょう

 やがてY字路が見えてきますのでそこを右に曲がります

 道幅としては乗用車1台分ほどの幅しかなく、また人が飛び出して来ることもありますので安全運転で真っ直ぐ進むと水車小屋の駐車場に到着できます。

 段々と細い道になるうえに案内板も少なく、分かりづらいのでゆっくりと運転していくことをオススメします

 交通手段としては車一択……と言いたいところですが、道に不安な方はタクシーの利用……体力に自信のある方は遠野駅前にある『旅の蔵』にてレンタサイクルも行っているので自転車で巡るのも良いかもしれません。

探勝レポート

 それではさっそく探勝といきましょう!

 今回は水車小屋の駐車場からスタートです。

 とはいえ、水車小屋は駐車場のすぐそばにあるので時間は全くかかりません。

駐車場

 駐車場はかなり広い造りとなっています。

 駐車線はありませんが、そのぶん自由に停めることができます。

水車小屋 説明

 駐車場には水車小屋の説明書きがあり、読む限りだと2015年に修理してから動かしたようです。

 昔からと思っていましたが、意外と最近なんですね。

 なお、近くにはトイレもあり、小休憩にも便利です。

 そして、トイレの入り口近くにはなぜかおみくじがありましたが、この辺りには神社はおろかおみくじを結びつける場所もありませんので、引いた際は持ち帰り推奨となります。

 そうして、駐車場の向こうに目を向けると……

山口の水車小屋

 立派な茅葺屋根の水車小屋があります。

 水を引き、軋む音を立てながら水車が回っている様子はどこか放歌的です。

水車

 水車に接している水路は小さいながらも水量が豊富で傾斜をつけているせいか水の勢いがかなりあります。

 なにより水がとても綺麗!

 本当に古き良き日本の田舎の風景です。

茅葺

 屋根の茅葺も綺麗に整えられています。

 茅葺は材料がススキや葦といった多年草が使われ、火災にとても弱いですが……代わりに断熱性、保湿性、通気性、吸音性に優れており、雨にも強い性質があります。

 現代においてもこれら全てを兼ねそろえた屋根を作ることは難しいとされているので、いかに昔の人達の知恵が優れていたのかを思い知らされます。

 さて、この水車小屋……実は中を見ることができるそうなので、見学してみましょう!

水車小屋 中

 中を見てみると意外とひんやりと涼しいです。

 水を引き込んでいる……というのもありそうですが、想像していたよりも中に入りやすかったです。

 奥にあるのは脱穀に使われるものでしょうか?

水車小屋 屋内

 天井を見てみると骨組みから縄まできっちりと組み上げられています。

 ここまで来ると芸術的ですね。

水車小屋 中2

 こちらもまだまだ現役で動いていました。

 丸太が回転する度、連動する形で四つの杵が動く仕組みとなっています。

 昔はこの動力を駆使して製粉や精米、機織りや製材など多岐に使われていたとのこと……結構幅広く使われていたのですね。

 歴史や民俗の勉強になります。

おわりに

 歴史や文化を知る一つとして文献を読む、という方法はとても手軽で有効ですが、やはり一番は実際に見て聞いて……できることなら体験してみるのが最も良い方法です。

 特に昔はあったものの今はない、または動いていないというものが未だに使われているというのは貴重なことでしょう。

 この夏は皆さんも昔に戻って、懐かしい思いを肌で感じてみてはいかがでしょうか?

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