天気が良い日が休みになるとどこかに行きたくなるのが人の性。
そして、そんな人達の多くは良い景色を求めがちです。
できることなら山の上から一望できる景色が最高ですが、山登りとなると体力や準備など色々と手間が掛かるのが悩みどころです。
そんな時にオススメできるのが展望台。
山登りほど難しくなく、手軽に景色を堪能できますが、場所によっては人でごった返して静かに楽しめないのが難点です。
今回はこの二つの点を解消できる手軽かつ人の少ない展望台をご紹介します。
あの展勝地も上から眺めることができる展望台
概要
桜で有名な北上市の『展勝地』……その南のほうに観音像が建つ見晴らしの良い場所があります。
その場所は『男山』……山とはいえ標高は163mなので丘に近い山です。
しかも、山全体が緑地公園として整備され、山頂まで道路が通っているので車で手軽に行くことができます。
男山周辺は『国見山廃寺跡』と呼ばれる国指定史跡があり、天気の良い日や週末になるとハイキングを楽しむ人で溢れかえります。
また、桜の咲く頃になると眼下に平がる桜と広大な北上川、北上平野を一緒に楽しむことができ、贅沢な気分に浸ることができますよ!
アクセス
『男山展望台』は『展勝地』を『県道14号線』沿いに南下し『みちのく民俗村』を過ぎた先にある道を左に入った先にあります。
左に入る道の付近にはトイレのある駐車場があるので分かりやすいと思います。
そこに入ると道が再び二又に分かれていると思いますが、そのまま真っ直ぐ進んでください。
横道は別の展望台『亀の子岩展望台』へと繋がっているので、『男山展望台』へ行く際は一度曲がったらあとは真っ直ぐ、と覚えましょう。
進んだ先には『北上市憩いの森キャンプ場』があります。
展望台へはそこから道がさらに狭くなるので、心配な方はキャンプ場の駐車場に停めても大丈夫です。
その場合は10分ほど歩くことになります。
道が狭くても問題ない、という方はそのまま車へ上がっていくと展望台駐車場に辿り着きます。
周辺は熊などの目撃情報があるので、熊鈴やクマよけスプレーなどを持参していくと安心です。
また、春には桜で賑わう『展勝地』を訪れるのもオススメです。

探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回はキャンプ場の方に車を停めてスタートです。

こちらがキャンプ場の駐車場……この日は天気も良かったため、大勢の人達がハイキングに来ていました。
ここまでは比較的人がいますが、展望台の方になると極端に人は少なくなります。

駐車場周囲を探索していると看板のある桜を発見。
この桜は『山高神代桜』といい、伝説によれば日本武尊が本州東部に遠征した帰り道にこの地を訪れ、この桜を手植えしたといわれているそうです。
その後、日蓮上人(日蓮宗の開祖)がこの地を訪れた際にこの桜が衰弱しているのを見て、樹勢回復を祈ったところ、再び繁茂したと伝えられるため、別名『妙法ザクラ』ともいわれているそうです。
しかし、それにしては少し小さいような気が…………よくよく説明書きを見るとこの桜は地元の方が原木の種から育成した苗木を譲り受けて植樹したものであるとのこと。
どうりで……ということはオリジナルは別ということですね。
いつかこの桜の原木も見てみたいものです。

駐車場も一通り見たので、展望台の方へと向かいましょう。
駐車場の隣にはこのような軽トラで行くような林道のような細い道があります。
車で行くこともできますが、対向車が来ると避けるので一苦労な道ですので、歩ける人は健康増進も兼ねてキャンプ場の駐車場を利用することをオススメします。

そうして道を進んで行くと展望台駐車場が見えてきました。
道は狭いですが、駐車場は広い造りとなっています。
この日は先客がいたので、下の駐車場に車を停めて正解でしたね。

駐車場はどこに停めても良さそうですが、奥に行くにつれて落ち葉の量が増えているのでなるべく手前に停めたいところです。

それではいよいよ展望台へ……入り口は階段と緩やかな坂の迂回路の二通りがありますが、階段は足場崩壊のためか閉鎖されていました。
階段でも行けないことはないのですが、急なこともあり安全を考慮して迂回路を使いましょう。

迂回路は緩やかですが、砂利と僅かに段差があるので車椅子などで行くのは難しそうです。
ただ、意外と落ち葉が少なく歩きやすくなっているので時々人の手が加わっているのでしょう。

展望台の中腹に到着。
落ち葉がびっしりとあります。
石造りのベンチもあるので座って山々を眺めるのにちょうど良さそうです。
ただ、こういう場所はもう少し暖かくなってくると落ち葉の下にマムシなどが潜んでいる場合があるので、進む際は注意しましょう。

この中継ポイントから山頂までは目と鼻の先……頑張りますか!

山頂にようやく到着。
さっそく展望台に、といきたいところですが祠があったので山の神様にご挨拶をします。

祠の近くにはしめ縄が巻かれた岩がありました。
恐らく、男山の御神体なのでしょう。
由緒書きなどは特にありませんでしたが、こちらにも手を合わせます。
それにしても、やはり岩手は山や岩を祀る所が多いですね。

ここで少し周りを見渡してみましょう。
うむ、やはり良い景色です。
ここからでもなかなか良い眺めじゃないですか。

さて、展勝地の方はというと……木々が邪魔でよく見えません。
展望台のほうへ移動しましょう。

奥州市方面はというと……ベンチはありますが、見晴らしとしてはまずまず。
やはり全体を見渡すには展望台が一番みたいです。

展望台近くには立派な観音像である『やすらぎの像』が北上市を見守っています。
この像は昭和52年7月に市民有志により建立されたもので、永遠の幸福と心のやすらぎを受けることができるよう願いが込められているそうです。

像の高さは4メートル……この台座を含めると7メートルにもなるそうです。
下の方には岩にめり込んだ賽銭箱がありました。
一体、どうやって回収するのでしょうか?

長く引っ張りましたが、お待ちかねの展望台へといきましょう。
階段は少し崩れ気味なので、上がる際は足元に気を付けてください。

正真正銘の男山山頂に到着です。
眼下には雄大な北上川と北上市街がよく見えます。
画像では分かりづらいですが、うっすらと岩手山も見えます。

少しずれると北上平野と雪化粧した奥羽山脈がよく見えます。
晴れており、風も強いため開放感は最高です。

新幹線の沿線には街が発展し、流域周辺には田園地帯が広がる……自然と人との調和がとれた景色ですね。
方角から考えると向こうは『夏油高原』のある山々でしょうか?
今頃、スキーヤー達はゲレンデを滑走しているでしょうね。

奥州市方面は幅広い北上川と田園風景が広がっています。
この景色を見ると岩手一の米どころというのが一目瞭然ですね。
春には桜……夏には田園……秋には金色の絨毯が広がり、冬は北上を一望できる。
自然はいつでも私達を楽しませてくれますね。

ということで、男山……登頂完了!
おわりに
静かな場所で最高の眺めを堪能する……このひと時は贅沢な時間といえるでしょう。
特に訪れたい時期としては桜の咲く春と稲刈りが始まる前の秋ですね。
晴れた日に行く場所に困ったら、広大な景色を眺めに展望台を訪れてみてはいかがでしょうか?
きっと身も心も軽くなったように感じられる筈ですよ。