険しい断崖と打ち付ける荒波が作り出した海岸『三陸』………岩手沿岸地域にはそれぞれ、その三陸の海を間近に見ることができるスポットがあります。
その中でも一際景勝地として名高いのが田野畑村にある『北山崎』です。
なぜ、名高いのか………それは唯一他者からの評価で最高ランクの御墨付きをもらい、証明されているからです。
今回はそんな『北山崎』の魅力についてご紹介します。
特A級の海の景勝地
概要
高さ200mの切り立った断崖が8キロに渡って連なり、その様相から『海のアルプス』とも称される『北山崎』は三陸海岸が誇る絶景の景勝地です。
奇岩怪石や大小さまざまな海蝕洞窟などがあるダイナミックな海岸線………その景色は(公財)日本交通公社の全国観光資源評価「自然資源 海岸・岬の部」で最高ランクの特A級に格付けされるほど……。
そんな北山崎は3つの展望台がそれぞれあり………
誰でも気軽にウッドデッキから見ることができる第1展望台。
約736段にも及ぶ起伏激しい山道の先にある第2展望台。
北山崎ビジターセンターの裏手にある高山植物のシロバナシャクナゲが群生する森林の先にある第3展望台。
と、様々な場所から三陸海岸を楽しむことができます。
また、夏にもなると海からくる『やませ』が崖にかかり、とっても神秘的な光景が見られますよ!
アクセス
『北山崎』は海沿いの『県道44号線』そばにあります。
かなり離れた『国道45号線』辺りから案内板が出ているので、付近を走行していれば迷うことなくたどり着けますが、普代村の『陸中黒埼灯台』から田野畑村のもう一つの名所である『鵜の巣断崖』の間にあるので、心配な方は観光がてら三カ所を巡ると確実に辿り着くことができます。


公共交通機関を利用する場合は普代・田野畑の各駅から村営及び村民バスが運行しています。
また、田野畑駅から北山崎までは、鉄道の時間に合わせて観光乗合タクシーも運行しているのでアクセスも非常に容易です。
無論、無料で使用できる駐車場もあります。
探勝レポート
第1展望台
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は駐車場からのスタートです。

こちらが『北山崎』の駐車場……名勝なだけあって多くの観光客が訪れるため、かなり広いです。

それでは敷地内へと入っていきましょう。
訪れたこの日はかなりの晴天、ベストコンディションです。

駐車場から第1展望台までは平坦な道が続いていますが、意外と距離があります。
道中の左側には食堂やお土産屋さんなどが軒を連ね、お店の人が客寄せの呼び込みをかけています。
活気があって良いですね。
最近はあまりこういう呼び込みは見かけなくなりました。
TPOの影響でしょうか? 個人的には好きなんですけどね。

展望台付近にはレストハウスもあるので、ゆっくりと見て回ることができます。
売っているのだ塩ソフトクリームが非常に美味しそうです。
そして、三陸名産のわかめも健在です。

少し小高いところにあるのは『ビジターセンター』………『北山崎』のみならず三陸海岸の自然やジオパークについても知ることができる施設ですね。
寄ってみるのも面白いですよ。

綺麗に整備された道を通り、いよいよ第1展望台へ………はたしてどんな光景が見られるのか?

展望台から望む三陸海岸の風景………はっきり言って最高です!
切り立った崖に澄み渡るほど青い海と空が広がり、岩に打ち付けられて出来た白波の泡が美しい………まさに『海のアルプス』!
この『北山崎』は他のリアス式海岸とは少し違う形で形成された海岸です。
というのもリアス式海岸は地盤沈降や海面上昇によってできるのに対し、『北山崎』はその逆の海面隆起、海面低下によってできた隆起海岸という部類に位置付けられています。
200mの断崖の頂上は平坦な丘陵地帯である海岸段丘です。
この発生のメカニズムとしては海岸が波に浸食された後、海岸が隆起したか海水が減って海退がおきると、平らな海底が現れ新しい海岸となり、さらに海退が進むと階段状の海岸ができます。
『北山崎』一帯は、海流の影響などで波が荒れやすく、浸食が活発なうえ、さらに地震活動による津波の影響を受けやすいため、段丘面の下部が全面にわたって削り取られ、ほぼ垂直に切り立った崖が形づくられたというわけです。
自然の力とはやはり凄まじいですね。

展望台自体も木材をふんだんに使用されたお洒落なウッドデッキでとってもフラット。
これなら車椅子の方でも安心して見ることができますね。
正直、ここからの眺めでも十分ですが……残り二つの展望台も期待できるのでしょうか?
第2展望台
それでは今度は第2展望台へ行ってみましょう!
第2展望台の入り口は第1展望台のすぐ下………階段を下り、起伏激しい山道を行った先にあります。

正直、体力に不安がありますが………いざ!

階段は急ではないのですが、ところどころ曲がりくねっているうえに山道なので、結構足に負担が掛かります。
体力や足腰に負担がある人は第1展望台に留めたほうが良さそうです。
歩いて10分ほど、という情報でしたが………絶対に10分以上かかります。

ただ、道中からの眺めはどこも絶景です。
水平線の彼方まで見渡すことができるこの景色は、困難な道を歩む者だけが見ることができる特権といえるでしょう。

歩いていると下へ続く階段が現れました。
どうやら、ここから海岸まで行くことができそうですが、体力がいっぱいいっぱいなため私は断念しました。
ここは三陸ジオパークのトレッキングコースにもなっており、厳重な装備をした方が来るのを何度か目撃しました。
体力に自信がある方………通常の筋トレには物足りない方………ぜひともここを往復してみてください。
恐らく鋼の肉体を手に入れることができると思います。

場所は違えど何だかあの岩………大船渡市にある『穴通磯』によく似ていますね。
三陸海岸は似たような感じになるのでしょうか?


同じ息を切らせ、ダウンする家族や道行く人を追い越しながらいよいよルートは佳境を迎えます。
第2展望台はすぐ目の前ですが、ここまで来ると両端が崖になっていて少し危ないです。
疲労が強い際は足を踏み外す危険があるので、一息ついてから行った方が賢明ですね。

険しく長い道のりを越え、ようやく第2展望台へ到着。
こちらの展望台は第1展望台と比べるとやや狭く感じますが、作りはしっかりしていますね。
はたして、ここからの眺めはいかがなものでしょうか?

ここkらの眺めも素晴らしいです。
三陸のオーシャンビューが輝いて見えます。
周囲の松がフレームの枠に入り、少しお洒落な感じですね。

浸食洞窟も同時におさめようとしましたが、こちらは左の木が異様な存在感を放ち、あまりうまくいかず………木が映らなかったら、良い映になったことでしょう。

この付近はミサゴの営巣地にもなっているようです。
この日は天気は良かったのですが、残念ながら海鳥の一羽も見つけられず………見かけた方はラッキーですよ!
………さて、またあの険しい道を通って戻りましょうか。
行きはよいよい、帰りは怖い………なんて言いますが、起伏がある道では行きも帰りも怖いです。
第3展望台

息を切らせ、汗をかきながらようやくビジターセンターの前まで戻ってきました。
ここまでで体力はほとんど空ですが、あともう一つ……第3展望台が残っています。
この看板のある分岐点から右に行くと第1展望台、左へ行くと第3展望台へ行くことができます。
それではもうひと頑張りといきましょう!

第3展望台へのルートは森の中を通る散策路です。
第1展望台よりは距離がありますが、第2展望台よりははるかに難易度は低いです。
舗装はされていないので、車椅子等を使用する方は難しいかもしれませんが、体力が心配な方も安心して行くことができます。

この辺りは時期になると高山植物であるシロバナシャクナゲが群生するエリアで周囲を楽しみながら歩くことができます。
ただし、森の中なので岩手ではお馴染みである熊には注意です。
心配な方は熊よけの鈴や熊よけスプレーを持参すれば安心です。

歩いて5分ほどで第3展望台に到着。
第2展望台の試練を潜り抜けた後ではすごい楽に感じますね。
はたして、ここからの景色はいかがなものか………?

ここは第2展望台の裏側に当たる位置なので、断崖が連なる海岸線を見ることはできませんが、第2展望台の全体を眺めることができます。
この景色も結構良いですね!

しかし、改めて見ると我ながらよくあそこを通って先端まで行ったなぁ、と思います。
ここから全体を見た後に第2展望台に挑戦………はもしかしたらしなかったと思います。
無知とはやはり恐ろしいものですね…。
おわりに
三陸が誇る景勝地はまさに海の山脈と呼ぶにふさわしい美しい場所でした。
この海岸線を歩く三陸トレッキング………興味はあり、挑戦はしてみたいですが、はたして私に出来るのかと些か不安にも思ってしまいました。
もし、山登りに挑戦するために体力を作りたいという方はまずはこのような場所から制覇してみるのも良いかもしれません。
皆さんも三陸の自然の美しさと険しさを体感しに訪れてみてはいかがでしょうか?