三陸海岸といえばギザギザの海岸線が特徴的なリアス式海岸で有名です。
その海岸は『三陸ジオパーク』とも称されており、太古から続く地層や岩肌は現代に生きる我々には学術的にも貴重なものばかり。
そんな荒海が長い年月をかけて作った海岸はどれも絶景で、人を簡単には寄せ付けず、自然に生きる動植物達にとっては天然の要塞となっています。
今回は海鵜(うみう)達を守る断崖絶壁の要塞をご紹介します。
鳥達を守る断崖の要塞
概要
田野畑村聳える位置し、地図上では岩泉町との境にある断崖の海岸線『鵜の巣断崖』。
大海原にそびえるギザギザの断崖絶壁はまさに三陸海岸特有の『リアス式海岸』を体現しているといっても過言ではなく、絶景を作り出しています。
崖の中腹に海鵜の巣があることに由来しており、営巣地としての側面もあります。
初夏には東北の太平洋側から吹く『やませ(北東の冷たい湿った風)』が雲海のようにかかり、秋には岩肌に生える木々が色づく紅葉と相まって、絵画のような風景を作り出します。
アクセス
『鵜の巣断崖』へは『三陸沿岸道路(高速道路)』を利用するのがオススメです。
三陸沿岸道路には専用の『鵜の巣断崖IC』があり、その案内に従って下の道へ下りると鵜の巣断崖までところどころ案内板があり、迷わず行くことができます。
駐車場も広々とした専用駐車場があるので安心して停めることができます。
また岩泉町に近く『鵜の巣断崖IC』の一つ前は『岩泉龍泉洞IC』があり、そのまま約40分ほどで『龍泉洞』に行くことができるアクセスの良さも魅力的です。
時間をあまりかけず、三陸の名勝を堪能したい場合はお手軽に行くことができるスポットとしてもオススメです。
探勝レポート
それではさっそく探勝といきましょう!
今回は『鵜の巣断崖』の駐車場からスタートです。
駐車場は大型車が何台でも停められるほどの広々設計。
沿岸部の名勝は観光地としても有名なので観光バスが停められるほどのスペースが設けられています。
もちろん、トイレも完備。
こちらの道から『鵜の巣断崖』へ行くことができます。
なお、近くにはタクシーに関する張り紙もあり、ここから別行動することも可能です。
ただし、例に漏れず熊注意です……。
林道は広く、アカマツに囲まれており日が差し込んで明るいです。
道にはウッドチップなのかおがくずを圧縮したものか分かりませんが、何やら敷き詰められておりフカフカとして歩きやすいです。
階段もなく、段差もほぼないので車椅子の方や足腰に負担のある方も安心して通ることができますね。
車椅子の方に注意な林道にはちゃんと案内板が設置されています。
なんという優しい設計……!
惜しむらくは林道ゆえなのか外灯の類が一切もないこと……まぁ、夜中にここに来る方はいないでしょうが日が暮れる前にはここを立ち去った方が良さそうです。
藪も周囲にありますし、動物が飛び出してくるリスクがありますからね。
途中にはこのようなベンチもあるので森林浴や散歩だけでも十分に楽しむことができます。
林道の中を歩くこと約10分……視界が拓けて海が見えてきました!
そして……
ついに『鵜の巣断崖』へ到着!
この木の看板がさらに味を出していて良いですね!
ここからでもとても良い見晴らしです。
もう少ししっかり見るために展望台へ上がってみましょう。
いやはや! 絶景かな! 絶景かな!
素晴らしい眺めです!
5列に連なった切り立った崖がまさに『リアス式海岸』といった感じです。
木々の生えている箇所は若干色づいていますが、まだ紅葉まではいかない様子……少し早かったようです。
一方で肝心の海鵜達はというと……なぜか一羽も見られませんでした。
私の目が節穴なのか、それとも時期なのか……。
崖下を見るといくつもの岩穴が……!
なんだか探検心をくすぐられますね。
どこかに繋がっているのでしょうか?
見ているだけでワクワクします。
海を見てみるとどこまでも続いていそうな水平線……大海原が広がっています。
ここに『やませ』が押し寄せ、雲海のようになる……いつか見てみたいものです。
しかし、ここで皆さん疑問に思った方もいるのではないでしょうか?
「展望台に階段あるじゃん!」と……
はい、確かに階段を上りました。でも、ご安心ください。
ちゃんと階段を上がるのが難しい方も同じ景色が見られるよう専用の展望台が設置されています。
こちらは若干、海原に近いですが……それでもほとんど同じ景色を見ることができますよ!
おわりに
時間のない方や足腰に心配な方にも配慮した素晴らしい景勝地でした。
誰でも美しい景色を見られるというのはなかなかできることではありません。
年齢やコンディション等……様々な事情があり、見ることができない場合もあるでしょう。
そんな方々にも考慮した貴重な場所……いつまでも残していきたいですね。
そのためにも環境やそこに住む動植物達へ配慮した行動が必要です。
マナーとモラルを守り、この自然遺産をいつまでも楽しんでいきましょう!