町ぶら

引退した電鉄が眠る公園【花巻市‖材木町公園】

 岩手は広大な土地に加え、海に行こうにも秋田に行こうにも険しい山々が立ちふさがり、人々の障害となりました。

 そんな土地だからこそ、車が一般家庭に普及する前は電車が貴重な足………なくてはならない存在です。

 特に農閑期において山へ湯治に行く際はたくさんの荷物も持っていかなければならないので、ことさら重宝したことでしょう。

 今回はかつて花巻駅から花巻温泉郷、花巻南温泉郷へ人々を運んだ鉄道『花巻電鉄』が眠る公園をご紹介します。

花巻電鉄が眠る公園

概要

 その公園は花巻市材木町にある『材木町公園』

 かつて活躍した花巻駅にほど近い場所にある公園で、車通りの多い道路沿いにあります。

 普段は児童で賑わう公園で近くには『市民の家』と呼ばれる集会所に利用されているレトロな建物もあります。

 そんな公園の遊具をひっそりと見守る形で花巻電鉄『デハ3系』が佇んでいます。

アクセス

『材木町公園』は花巻駅西口から出てセブンイレブンのある十字路を左に曲がった先にあります。

 徒歩10分ほどで行くことができ、近くにはわんこそばで有名な『やぶ屋総本店』や旧マルカンのある『花巻おもちゃ美術館』など観光アクセスも豊富です。

 専用駐車場はありませんが、公園裏にある道路が少し広いので路肩に停めることが可能です。

 歩道があり、安全に配慮されていますが交通量の多い道路なのでくれぐれも交通事故に注意してください。

探勝レポート

 それではさっそく探勝といきましょう!

 今回は公園裏の道路に車を停め、スタートです。

 路上駐車の扱いのため、手短な探勝となります。

材木町公園

 こちらが『材木町公園』

 道路沿いからの正面です。

 ここから見るだけでもアーチ状のはしご橋にロープで作られた三角形のアスレチックがあり、普通の公園と違って遊具が豊富です。

 敷地もそこそこ広いのでサッカーなどでも遊べそうです。

市民の家

 そんな公園に隣接するのがこちらの『市民の家』

 レトロ感満載で歴史的な建物みたいです。

 調べると旧花巻役場庁舎とのこと………通りで威厳を感じるわけです。

 こんな立派な建物が集会所とは羨ましい………私の住んでいるところは小さな公民館ですよ。

 でも、今はなぜか休業中とのこと………改修でもしているのでしょうか?

公園の注意事項

 再び公園のほうに戻ります。

 注意事項としては………

・オートバイの乗り入れやペットの同伴は禁止

・バスケットゴールは午前6時~午後9時まで

とのこと。

 ………バスケットゴール?

バスケットゴール

 見るとバスケットゴールが一台ありました。

 状況から見るに正式なゲームというより、ワンオンワンやスリーオンスリー用でしょう。

 花巻は野球のみならず他のスポーツも盛んですから、あっても不思議じゃないですが………バスケ好きには嬉しい環境ですね。

 トイレなどもあり、公園としての条件はほぼ満たしています。

遊具

 滑り台やブランコもあります。

 近頃はブランコのチェーンが首に絡まる………滑り台から落ちる、ということでほとんどの公園で遊具をあまり置かなくなっていますから、このような公園は貴重なのかもしれません。

 危険から子供達を守るのは大事ですが、それに伴い楽しみも減少する…………難しい問題です。

 さて、そんな遊具の後ろ………もう見えているのでいっちゃいましょう。

花巻電鉄

 こちらがかつて活躍していた花巻電鉄『デハ3系』の実物です。

 別名『馬面電車』とも呼ばれ、路面電車として運行していたようですね。

 路線は花巻温泉郷へ行く『鉄道線』と花巻南温泉郷に向かう『軌道線』があり、どちらも線路幅が762㎜と日本の在来線の一般的な線路幅よりも狭く『特殊狭軌(とくしゅきょうき)』と呼ばれる線路でした。

 一般的に日本の在来線は『狭軌(きょうき)』といわれ、線路幅は1067㎜………新幹線で採用されている『標準軌(ひょうじゅんき)』という世界標準の線路幅は1435㎜………そのため『特殊狭軌』は、一般よりは少し短め……新幹線の線路幅では約半分ほどしかありません。

 そのため、花巻電鉄の車両は車体幅が約1.6mと極端に狭く、車端部では更に幅のせばまった奇異な形をした車両(馬面電車)となりました。

 横幅が人一人よりちょっと広いくらいですので、今の電車のように向かい合っては座れないでしょう………一列に並んで乗ったのでしょうか?

 現在は金網に守られ厳重に保護されているためか、保存状態が良く『近代化産業遺産』にも指定されています。

 花巻の歴史を物語る貴重な資料です。

 ましてや、電車好きの子供たちなら嬉しいでしょうね。

花巻電鉄の歴史

 傍には実際に稼働していた頃の写真もあります。

 写真からでも歴史を感じますね………電車のカラーや構造もレトロな感じを漂わせ、見る人によっては懐かしい気持ちになるでしょう。

おわりに

 かつて人々を乗せていた歴史ある電車は地域に方々の手により丁寧に守られ、余生を過ごしていました。

 すぐ近くには旧花巻役場庁舎もあり、レトロ感満載………休日にはお孫さんを連れて、昔語りをするのも良いかもしれません。

 私としては未だかつて路面電車を見たことがないので、動いている所をこの目で見たかったですね。

 皆さんも近代の歴史を感じに公園に遊びに行ってみてはいかがでしょうか?

 

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